縦8.85メートル、横20.2メートル。バレーボール・コートに匹敵するその面積はココ『新宿ミラノ座』のスクリーンサイズだ。座席数、広さ共に日本一を誇るコチラの劇場は今では数少なくなった大劇場の迫力を満喫できる貴重な映画館なのだ。昭和31年12月に“放浪の王者”でオープンして依頼500本以上の大作や話題作を送り続けている。現在に至るまでのヒット作を挙げても“ジョーズ”“E.T.”“ロッキーシリーズ”“ディープ・インパクト”“A.I.”など劇場の歴史を窺うことが出来る。作品としてはハリウッド・メジャーを中心としているものの“存在の耐えられない軽さ”などの重厚な人間ドラマも扱っている。新宿歌舞伎町という場所柄か平日の昼間はスーツ姿のサラリーマンが目立つが、お客様の層としては若いカップルから子供連れのファミリー、熟年層に至るまで幅広い。また「眠らない街、歌舞伎町」の中心地にあるせいか土曜日のオールナイト上映には数多くの映画ファンが詰めかける。正面入口から入場してまず驚かされるのはロビーの広さであろう。


シネコンのロビー以上の広さを1館の劇場が有するというのも大劇場ならでは。作品毎に替えられる装飾はロビーを「これでもか!」と埋め尽くし、いたって賑やかだ。また丁度ホールの最高尾に当たる階上へ上がって行くとそこにも長いロビーがあり映画館を散策するだけでも、あっと言う間に時間は過ぎてしまう。売店には上映作品に関する関連グッズが豊富に取り揃えられており、他にもポストカードやビデオソフトなども充実している。またロビーに隣接する“モス・バーガー”(設立当時は日東紅茶ティースタンドだった)があるのがユニークで、座席を確保してからでもゆっくりと購入出来るのがウレシイ。今では少なくなった70mmも上映可能な設備を持った場内はワンスロープの座席で大スクリーンの迫力を満喫できる。

1288席もあるので予め自分がどの場所で観たいか当たりを付けておいた方が良いだろう。これだけの座席数を有しているだけに立ち見という事は殆ど無いので安心して足を運べる劇場だ。ただ中には電話で公開直後、座席状況を聞いても信じてくれないお客様もいるという。「“ハリーポッターと賢者の石”の時も大丈夫ですよと申し上げても仲々信じてもらえなかったですね。そこは大劇場の強みでもあるのですが、年に1〜2回しか足を運ばれないお客様にはやはり当劇場のキャパが理解出来にくいのでしょうね。」と語る副支配人の津田英夫氏。「本当はそういったお客様に、もっと足を運んでもらえる様にならないといけないんですけど…。」その為にサービスや設備をより良く改善しようと昨年行われた“新シートコンテスト”。劇場のロビーに十数種類の椅子を展示してアンケートを実施、いよいよ集計結果を元に年内にはリニューアルするというので期待したい。より良いサービスの追及…それが日本一の劇場たる由縁なのかも知れない。


また、平成15年6月の東急文化会館の閉館にともない、長年『渋谷パンテオン』をメイン会場としていた『東京国際ファンタスティック映画祭』を『新宿ミラノ座」に平成17年に移した。初開催には33タイトルが上映され、大スクリーンには久しぶりに『大脱走』が映し出された。また映画祭20周年企画としてコンペティション部門を開催するなどを仕掛けるものの、年々スポンサー探しが難航したこともあり、平成18年以降は『東京国際シネシティフェスティバル』へと東京ファンタの基本精神を引き継がれた形で開催。そして、2014年12月12日に、「東京ファンタ復活祭2014」として、一夜限りの復活祭を敢行する。これは2014年末で閉館となる「新宿ミラノ座』のクロージングイベントの一環としての開催であった。

平成26年5月13日に、東急レクリエーションが、老朽化に伴う新宿TOKYU MILANOにある全ての直営事業所の閉鎖を発表。さよならイベントを前に、平成18年より改名されていた『新宿ミラノ1』の名称を長年親しまれた『新宿ミラノ座』に戻して、同年12月20日から31日まで、クロージングイベント「新宿ミラノ座より愛をこめて〜LAST SHOW〜」を持って58年の歴史に幕を下ろした。ラストショーでは、『荒野の七人』『マトリックス』のフィルム上映、「タワーリングインフェルノ』『アラビアのロレンス』などを上映。最終上映の『E.T.』(20周年アニバーサリー特別版)に約1,400人が詰めかけ、上映後は支配人からの最後の挨拶と共に、観客全員がクラッカーを鳴らし、場内を包んだ紙吹雪で華々しいフィナーレを迎えた。(取材:2002年1月・2014年12月)

【座席】1288席
【音響】DS・SR・SRD・DTS・SRD-EX・SDDS

【住所】
東京都新宿区歌舞伎町1-29-1 シネシティTOKYU MILANOビル


※2015年12月31日をもちまして閉館いたしました。

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