大学で上京するまで18年、札幌で過ごした僕が、一人で映画館に行くようになったのは中学に入ってすぐの事。もっとも小学生の頃から母と祖母が映画好きだったから新聞の広告欄を見せて言葉巧みに映画館へ連れ出してもらったり、父の職場で働くOLのお姉さんに連れて行ってもらったりして小学生の割には充実した映画ライフを送っていたと思う。また札幌は地方とは言っても5番目の政令指定都市だけあって映画を観る環境はかなり恵まれていたはずだ。

大作を観るなら大抵は『日本劇場』『帝国座』『札幌劇場』という1000席クラスの大劇場…これはまぁ上手く大人を言いくるめて連れて行ってもらうとして、数をこなすには少ない小遣いで映画代を捻出する工夫が必要だった。だからススキノにあった須貝ビルという大小映画館が8館くらい入っていた娯楽施設がたいそうありがたい存在だった。地下には客席が30席程の300円で観られる二番館、三番館が3館あったので高校時代は毎日、寄り道して帰ったものだ。並びにスタンドのカレー屋があったりして、かなり重宝した。

映画を観るには、入場料以外にもパンフレットのお金も必要だ。映画館まで行ってパンフレットを買わないなんて…お金がギリギリで帰りのハンバーガーを我慢してでも必ずパンフレットだけは買っていた。フィルムからブローアップした粗悪な写真を貼り付けただけでもビデオが無かった時代には貴重な映画資料だったからだ。300円ほどの薄っぺらい冊子に詰め込まれている情報量は実に計り知れないものである。

そうこうしている内に学生時代から今に至るまで毎回買っていたパンフレットも優に8000冊を越え、親や祖母から引き継いだものや古本屋で購入したものまであるから、これを紹介しないのは勿体無い…という事でこのコーナーを設けた次第である。



 大作主義からニューシネマ時代を経たハリウッド変革期
■『タワーリングインフェルノ』 「新宿ミラノ座」最後の時
 シネマスコープ、シネラマ、70mm、大スクリーン時代
■『荒野の七人』 「新宿ミラノ座」最後の時(2)
■『アラビアのロレンス』 「新宿ミラノ座」最後の時(3)
■『ティファニーで朝食を』 パラマウントテクニカラーの美学
■『サウンド・オブ・ミュージック』 トッドAO大スクリーンに広がる大自然
 文芸から大作まで、ハリウッド黄金時代
■『麗しのサブリナ』 映画とファッションの融合
■『ローマの休日』 銀幕の妖精オードリー・ヘップバーン
 文芸から大作まで、ハリウッド黄金時代
■『灰とダイヤモンド』 アンジェイ・ワイダ監督の映像に酔う
 ふたつの大戦の狭間で誕生したハリウッドの名作
■『若草物語』 戦後の日本に吹き荒れたハリウッド旋風