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![]() 広島の中心地―中区にはメイン通りとなる中央通りを挟んで、“本通り”と“新天地”という二つの表情を持つ町が存在する。“本通り”は数多くのファッションビルが建ち並ぶ若者文化が栄えた町で、一方の“新天地”は、昭和の雰囲気そのままの歓楽街として、今も昔も変わらない独特の妖しさを有した夜の町である。そんな歩いてわずか5分足らずの場所に二つの個性的なミニシアターが存在する。平成元年に広島でいち早くオープンしたミニシアター『シネツイン(1)本通り』と平成17年にオープンした2階席のあるミニシアター『シネツイン(2)新天地』である。両館共、映画館としての歴史は古く『(1)本通り』は昭和34年に開業した“中央名画劇場”が前身。『(2)新天地』は、更に古く昭和27年“新天地劇場”が前身となっている。どちらも現在の運営母体は広島で個性的な老舗映画館『サロンシネマ』を運営する株式会社序破急で、固定概念に捕われない斬新なプログラムとユニークな空間演出で驚かせてくれる。 |
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ビルの地下にある『(1)本通り』は小じんまりとしたロビーから場内に入ると、地下とは思えない程、天井が高い開放的な空間が目の前に広がる。まるで星を散りばめた様な照明の天井は、まさに映画という夢の世界に我々を誘ってくれるようだ。座席は全てフランスのキネット社製で、世界でも珍しい両肘掛けのシートは勿論、日本で初めて。幅64cmのゆったりした大きめのシートに加え、全席の前には小さなテーブルが設置されており、まるで飛行機のファーストクラスのようだ。更に、驚かされるのはコチラの場内は床暖房が完備されている点。これは、北海道から東北の映画館をくまなく探しても採用しているところはどこにも無く、コチラも日本初の試みとなっている。おかげで、冬場でも底冷えする寒さを感じない…と、女性客には大好評の設備である。 |
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今でこそ快適な場内で“映画を観るならココ!”と決めている固定ファンが多いものの、実はこの二つの映画館がリニューアルオープンに至るまで紆余曲折があったという。『(1)本通り』は、“中央名画劇場”が閉館した後、しばらくは映画館の設備がそのまま埃をかぶったまま、近隣の飲食店の倉庫となっていた。それを聞きつけた『サロンシネマ』の蔵本順子社長と住岡正明支配人が、飲食店のオーナーに頼み込んで敷地を譲り受け、映画館として復活させたというのだ。『(2)新天地』に至っては“東宝宝塚4”が閉館を決定した際にビルのオーナーから映画館を引き継いで欲しいとお願いされたのだが…。「 スタッフ一同集まって協議したのですが、反対意見が殆どでした。せっかく順調に行っていた他の映画館にも影響が出ますから…反対の意向を伝えた時に“あの小屋はボクを残してくれと言っているように聞こえるから、一か八かやってみましょう”と社長が言ってくれたんですよ。それで皆の腹が決まった感じでした」と住岡氏は当時を振り返る。「街中の個人館が次々と潰れていっちゃって、それは情けないと…やっぱり街にある個人の映画館というのは、どんなに劇場が古くても、そこで経営している人の臭いとか味があって、“あそこの映画館でアレ観ただろう”と話しにのぼる想い出のひとつだと思っています。人々が記憶の扉を開ける時のキッカケのひとつになる映画館になりたい…とボクは思っています」地方で個人館をやっていくのに大切な事は“愛と狂気と自己犠牲”という信条を持っている住岡氏。正にコチラの劇場にはお客様に対する愛と映画に対する愛情が溢れている。また、採算を度外視した快適環境作りへの狂気とも言えるこだわり…最後に「あそこに通っていれば、話題の映画が必ず観れる…とお客様から言っていただける様な映画館になりたい」いう目標を掲げ、1年365日映画の事ばかり考えているスタッフの自己犠牲が相まってお客様に愛される映画館が誕生したのであろう。(取材:2008年9月) |
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