皆さんは“ガリンペイロ”というレーベルをご存じだろうか。日本映画をより活性化させるために新しい才能を発掘する…複数の制作・配給・技術を有する企業と学校が連携して発足した日本映画の新分野である。ジャンルは何でも…とにかく面白ければドンドン映画化してしまおう!といった元気の良い企画。そのガリンペイロ作品の専門館となっているのがココ『テアトル池袋』なのである。もともとミニシアターとしてではなく通常のロードショウ館として池袋駅東口駅前に、1980年にオープンしたコチラの劇場はムーウ゛オーバー館、アジア映画専門館と変遷を経て2002年4月より日本映画を応援する劇場となった。勿論、あらゆる状況でも上映が可能なようにデジタルのDLPプロジェクターやHDカム、デジタルベータ、そしてDV設備を導入した国内でも珍しいライブ感覚の映画館である。

「昔に比べて映画を撮る事がコスト的にも安価で非常に身近になっていますよね。その中から新しいアプローチをされる作家が誕生しても不思議ではない…例えば音楽や演劇は小さなホールやライブハウスなど発表の場は比較的確保されていましたが映画なかなか無かった。そんな作品を発表できる場がウチの劇場なんです。」と語ってくれたのは支配人の沢村敏氏。第1弾として“ホギララ”の上映を皮切りに毎月新作を送り続けている。「基本的に映画館で映画を観るという行為は現代人のライフスタイルに合っていないと思うんです。つまり観たい時に観れない、他人に気を使って観なくちゃならない…でも決して家庭では味わえないものが映画館にはあるんです。それは作り手の思いが一番正確に表現できる場所だからなんです」




まさにその言葉を裏付けるように毎週(土日に限らず平日も)、監督や出演者による舞台挨拶などのイベントがコチラの劇場で行われている。毎週、イベントが行われているため直前になって急遽、監督が飛び入り参加するなどということが頻繁…それだけに劇場のインフォメーションを随時チェックしておかなくてはいけない。「お客様が一番喜んでくれるのは出演者や監督、スタッフによる現場のウラ話なんですよね。逆に関係者たちも自分たちの作った映画を観客がどのように観てくれているのか肌で感じて自分達の思いをアピールする場にもなってるんです」確かに、双方が望む舞台を作り上げてくれるのが唯一映画館という場所なのだ。




そうしたイベントを行える環境作りにも徹しており客席の最後尾にはPAのブースをセッティング、急遽来場できないタレントたちのコメントを事前にビデオ収録しておいてプロジェクターで流す…どころか、インターネットで繋げてLIVE中継してしまうなどの試みまで行っている。「まぁ、映画館としてはあるまじき行為をことごとく行っているわけです(笑)」観客と作り手と劇場が三位一体となって新しい上映形態を生み出していく『テアトル池袋』だが今後の課題としては「今以上の認知度のアップ」客層としても以前と比べてガラリと変わり、コアな映画ファンから出演者のファンが中心となり会場を埋め尽くしているものの、日本映画の新しい試みを多くの人に知ってもらいたいという。

作品はコメディからSF、ホラー、アニメーションと幅広いからこそ、掘り出し物がもしかしたら見つかるかも知れない。また池袋という場所は特にアニメに関しては他所よりも強く“アキラ5.1ch版”上映時は多くのお客様が詰めかけたという。今後もアニメに関して力を入れていく予定だ。壁面をブラックとレッドで塗り分けたロビーは比較的広いスペースを有している。


場内も同様でステージは広く最前列に座っても奥行きがあるおかげで苦にならない。実は舞台挨拶ではこの最前列が一番のオススメだという。座席もゆったりとしており、適度な広さの空間がゲストとの一体感を生み出している。売店では関係者のサインが入った書籍などの販売や、時には映画の舞台となった場所の物産展を行ったりとイベント以外でも映画の世界を手に入れる事ができる。取り扱い商品に関してはスタッフがホームページから関連商品のバックナンバーを可能な限り探し出すなど苦心の末、揃えたものばかり。時には専門店以上の充実さを見せているという。

「映画はお化け屋敷に似ている」という沢村氏。「一度入ったら、最後まで抜け出す事が出来ない…嫌でも前に進むしかないんですよね。ビデオみたいに一時停止できないからこそ貴重なんです」そんな自宅では体験できない世界をココではライブ感覚で楽しむ事が可能なのだ。「気持ちとしては10年先に活躍できる映像作家をここから一人でも出していけたらと思っています」と語る沢村氏。日本映画専門のミニシアターとして同系列の“テアトル新宿”が有名だが「池袋で新人を発掘、そして新宿でメジャーデビューしていくという形ができたら最高ですね」と言われるように、若き才能がココ池袋から巣立っていく日を楽しみに待ちたい。(取材:2003年4月)





【座席】162席 【音響】DS・SR・SR-D・DTS ※大型DLPデジタルプロジェクター完備・5.1ch再生可

【住所】 東京都豊島区南池袋1-19-5 ※2006年8月31日を持ちまして閉館いたしました。

  
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