中野という街は不思議な魅力に溢れている。“中野サンプラザ”周辺のオフィス街と中野通りの横を並列に走る商店街“サンモール”。独自の文化を形成しつつ、昔ながらの懐かしさも兼ね備えている。そんな街に1987年にオープンした『中野武蔵野ホール』は新しいサブカルチャーの担い手を発掘し、そして発信し続けている日本映画の登竜門と言われているミニシアターだ。「中野という街は雑多な街ですよね。新しい文化と昔からの文化が存在している雑然とした所にウチみたいなフラっと立ち寄れるような映画館がある…ココは肩の力を抜いて気軽に映画を観に来れるような場所です。」と営業担当の家田祐明氏は語る。
コチラで上映される作品は日本映画の中でも若い新人作家の作品を意欲的に取り上げ、この劇場からメジャーデビューした監督も少なくない。「基本的には日本のインディーズを中心に上映していく…という所から出発してきたのですが、最近ミニシアターの数も昔と比べて増えてきましたよね。今までウチでしか上映していなかった作品が都心に流れてしまっている…という現状があることも事実なんです。」とは言うものの『中野武蔵野ホール』ならではの予想もつかない特集上映や企画を毎回楽しみにしているコアなファンが多いのも紛れもない事実だ。ここ数年で新しい才能を発掘する企画として“P1”というものがある。Pとはピンク映画の事でユニークな作品を特集で上映し、その中からグランプリを決定するというコチラの名物企画だ。「ピンク映画の歴史は古いのですが、最近の若い人は観る機会がそれまで無かった…ピンクという題材を軸にしながら低予算でがんばっている若い監督を紹介してあげたい、というのが一番ですね。」と語る家田氏だが「ただ、ピンク映画に関しては、まだまだ発展途上だと思いますね。もっと若いお客様に来ていただきたいのですが…勿論、興味本位で来られる女性ファンもいらっしゃいますが、それがリピーターとして継続していくか?というのは今の所、未知数です。ウチのスタンスとして作家主義の芸術性の高いものよりも誰もが楽しめる娯楽色の強い作品にこだわり続けて大勢の方に観に来ていただけたらと考えています。」このような新人作家に注目する一方で昔の日本映画の発掘にも力を入れており、レイトショーやオールナイトではユニークな日本映画を特集している。イチ早く目を向けた“ドリフターズ特集”だったり、かなりマニアックな隠れた名作を紹介した“ディープクレイジー映画特集”などなど劇場のパワーを感じさせる企画モノが多いのもコチラの特長だ。