まだミニシアターというシステムが確立されていなかった1981年12月にアート・ガーファンクル主演の“ジェラシー”でオープンした『シネマスクエアとうきゅう』。映画館では珍しい定員入替制(現在は廃止している)と場内での飲食不可という画期的なシステムとメジャー系の全国ロードショウの枠に入ることが出来ない良質の作品を中心にプログラムを組んでいくという事から話題になり、わざわざ北海道や九州から来場される映画ファンもいた。クオリティーを追及しつつ、映画マニア向けの難解な作品ばかりではなく国籍やジャンルにこだわらない作品を送り続けている。また、日本で馴染みの無かった監督を数多く発掘し、ヴェルナー・ヘルツォークやカルロス・サウラ、パトリス・ルコントといった監督の作品を一早く掛けていたのもココである。最近では“シュリ”の公開以前から韓国映画に目を向けて“八月のクリスマス”をヒットさせるなど常にある種のムーヴメントを起こしている劇場だ。


事実、ロングラン上映記録を出した作品として“仕立て屋の恋”“薔薇の名前”“カルメン”が上位に入っており、ベトナム映画の“青いパパイヤの香り”も大ヒットを記録している。洋画だけではなく日本映画でも“さらば愛しき大地”がヒットするなど、上映作品のラインアップを見ても解る様にジャンル・国籍共に、あえて固執せずに良質の作品を提供していくという姿勢にこだわりを見せている。客層としてはオープン当初から女性が中心で7割から8割程、場内は女性客で埋め尽くされている。中には開館当時から通われている劇場ファンも多く、年齢層も20代から年輩まで幅広い。基本精神として「常にお客様の心に残る一本」というのを意識していたおかげで自然に“シネマスクエアとうきゅうらしい作品”という特徴を浸透させることに成功している。ただし状況は以前と比べて変わってきている事も事実で「昔と違い、今ではミニシアター自体も増えてきて良い作品に関しては競争が激しくなって来ています。その中から良い意味でお客様の予想を裏切る様なインパクトのある作品を選定していくというのが当面の課題ですね。」と語る津田英夫副支配人。

この様に観客が求めている時代の色をキャッチして劇場担当者自身が愛せる上映作品を見つけてきたからこそ根強いファンがいるのだろう。これは勿論、サービスにも反映されておりエントランスにはスロープが付けられ車椅子の方でも安心して入場でき、またトイレや場内にも車椅子専用のスペースが設けられている等、細かな配慮が随所に見られる。同ビル内にあるミラノボウルへとつながるエレベーターか階段を3階に上がって行くとコチラのエントランスがある。次回作のポスターが貼られているスロープを右手に見ながらガラスで仕切られた入口より入場すると目の前に歴史の重みを感じさせるシックな木目調のホールの扉。女性がメインの劇場だけに落ち着いたロビーは、いたってシンプルで余計な装飾は一切排除した映画を観るためだけの空間だ。開場までの待ち時間は一番奥にあるソファでくつろぐ事が出来、右側にある売店では上映作品のパンフレットや過去のバックナンバー、映画関連書籍などが販売されておりスタッフに申し出ればバックナンバーのリストを貰う事が出来る。

コチラの自慢はオープンより続く“Cinema Square Magazine”というB5変形サイズの小型パンフレットだ。今ではサイズも館名と同じ正方形(スクエア)となったパンフレットは他と比べると掲載されている写真の点数が多く、読むというよりも眺めるタイプと表現した方が良いかも知れない。16mmの上映も可能な場内は縦に長い作りになっておりデザインもシックなブラウンとベージュで統一。そして何と言っても映画ファンだけではなく業界関係者からも定評があるのが、かつて雑誌でも「日本一の椅子を持つ映画館」と取り上げられたフランスのキネット社より直輸入された椅子で、適度に傾斜が付いて深々と腰掛けるとあまりの座り心地の良さに寝てしまいたくなる程。女性のお客様へ配慮されたシートの生地はスカートにシワが付きにくいと評判だ。「素晴しい世界の映画を快適で理想的な環境で観てもらいたい…。」そんな劇場の思いが表れている老舗ミニシアターがココに在る。(取材:2002年1月)





【座席】224席 【音響】DS・SR・SRD

【住所】 東京都新宿区歌舞伎町1-29-1 シネシティTOKYU MILANOビル 【電話】 03-3202-1189


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