都会の喧騒から少し外れた恵比寿ガーデンプレイス─そこは水と緑が共存する都会のオアシスというコンセプトから誕生した街─。その一角にたたずむ『恵比寿ガーデンシネマ』は、まさにオアシスという言葉がぴったり合う「ほっと、落ち着ける」劇場だ。明るい自然光をタップリと取り入れられるロビーからはガーデンプレイスの街と緑が臨め、四季によって変化する日差しの中だと待ち時間が苦にならない。ロビーの壁は木目を取り入れ、さらに場内に入ると『シネマ1』のイスは緑『シネマ2』のイスは青と色分けされている。これはガーデンプレイスの水と緑の街というコンセプトを反映した事に依る。「先行していたミニシアターの中でもウチは後発の劇場ですが…」と高橋渡支配人は続ける、「ガーデンプレイスという街の注目度と渋谷から外れた場所にあることが他館との差別化になりましたね」。

1994年10月に“ショートカッツ”でオープンして以来、幅広い客層に支えられている。上映作品にもこだわり続け、新たな若手クリエイターが手掛けた作品にポイントを当てて「ここでしか観られないアメリカ映画」を中心に番組構成をしているのが劇場の特長だ。(例えばアンドリュー・ニコル監督の“ガタカ”)「うちは“スモーク”の劇場と言われているくらいです」と、高橋氏が言う通りニューヨークの煙草屋に集まる人々を描いた本作は大ヒットを記録した。現在に至るまでその記録は破られていない。フランス映画やアート系の専門館に対して、ウディ・アレンやティム・ロビンス、ロバート・アルトマンといったハリウッド・メジャー系を拒否しているハリウッド・インディーズに力を注いでいる。「なし崩しに劇場のカラーが変わるのは嫌だったから、ウチでしか観られないアメリカ映画にこだわりました」

“ロッタちゃんはじめてのおつかい”はロングランのヒットとなった。その影には「映画館で初めて託児所サービスを試みとして行い、予約がすぐにいっぱいになる程の反響があったんですよ」と星谷玲マネージャー。育児で手が離せなかったお母さん達への心配りがあった事も要因のひとつだろう。「今後も新しいサービスを導入していきたい」と、いう言葉通り映画館の可能性は広がっていく。さらに「映画を観終った後心地よくなるような作品を取り揃えているので、普段、苦手とされているジャンルにも挑戦してもらいたい」と語ってくれた。

サービスと言えばコチラではパンフレットのバックナンバーの通信販売も行っている。遠くは九州から毎回楽しみに注文しているお客様もいるとか。たしかに『恵比寿ガーデンシネマ』のパンフレットは特殊なデザイン性を持っており今までのパンフレットに対する概念が吹き飛んでしまう。配給会社と一緒にデザインやアイデアを持ち寄りながら制作するパンフレットの評判は上々。これからも個性的なパンフレットを出して我々観客を驚かせて欲しい。


スタイリッシュで、時にはセンセーショナルな作品群が魅力的な『恵比寿ガーデンシネマ』だが、昨年公開された“セントラルステーション”から英語圏以外の国の作品にも門戸を広げ、2スクリーンの強みを活かして、スウェーデン映画やスペイン映画など良質の作品を積極的に上映している。場所柄かグループで来場する女性客が多く、“17歳のカルテ”(この映画のパンフレットもかなり個性的であった)は大ヒットを記録した。

「映画鑑賞の3大要素は映像と音と座り心地」その中の音に関しては本劇場は音響のプロフェッショナルからお墨付を貰っている位の良さを誇る。劇場自体が遮塀構造(劇場の上には住居があるためにお互いの音を完全に遮断しなくてはならないのだ)となっている。「ウチの音響はTHXに近い数値が出ている。どんなにホームシアターが充実してもここまでの音響を出せない…だから劇場に来る価値があるんですよ」たしかに音響の良さは素晴しく、派手な音よりもむしろ音量のレベルが低い…例えば“女と女と井戸の中”のような風の音やかすかに聞こえる水の流れる音がクリアに聞こえてくるところに驚かされてしまう。是非、一度ここの音響を体験してみるべきだ。きっと澄みきったクリアな音にショックを受けるだろう。(取材:2000年8月)

【座席】 『シネマ1』232席/『シネマ2』116席 
【音響】  DS・SR・SRD

【住所】東京都渋谷区恵比寿4-20-2

※現在は、経営をユナイテッド・シネマグループに移り、リニューアルオープンしています。

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