上野から新幹線で40分足らず…かつて、この街に多くのファミリー層が訪れた一大レジャー施設があった。高度経済成長期真っ只中の昭和35年に開園以来、長年親しまれてきた小山遊園地だ。平成19年、惜しまれつつ閉園した跡地に大型ショッピングモール、“おやまゆうえんハーヴェストウォーク”が設立。ゲームや飲食店、温浴施設を有する商業施設は、かつての小山遊園地を彷彿とさせる、さながらテーマパークのようだ。


栃木県内で戦後から映画館事業を続けている株式会社銀星会館が運営するシネマコンプレックス『シネマハーヴェスト』がオープンしたのは同年7月。エントランスをくぐると光が変化するロビーが出迎えてくれる。「エントランスを抜けたら宇宙ステーションにいるようなイメージを来場されたお客様に感じてもらいたい。そこを通り抜けて非日常的な映画の世界へ入って行く…というのがデザインコンセプトです。」と語ってくれたのはマネージャーの伊藤智章氏。その言葉通り、ロビー中央にある七色に光るフィルムに見立てたモニュメント的な役割の柱が、これから観る映画への期待を喚起させる。時間と共に七色に変化する光はロビー全体を柔らかく包み込み、正にSF映画の世界にいるような気分にさせてくれる。場内は他の劇場に比べて座席の前後にゆとりを持たせ思いっきり足を延ばせるのが特長だ。

小山駅前にあった“銀星座”(現在の“シネマロブレ5”)時代からの常連のお客様からも好評だという。そしてもうひとつ特長として挙げられるのがコンセッションの豊富なオリジナリティー溢れるメニュー。昔懐かしい原宿ドッグやココアとラムレーズンが入ったバター餅などコチラでしか味わえないユニークなスウィーツが季節に合わせて登場する。メニューもスタッフの手作りだったり、シネマショップでは公開作品に合わせた装飾をされたりと配給会社から支給されたポップにはない、手作りだからこそ出る温かみがあったりする。

来場されるお客様は若年層からファミリー層そしてシニア層と幅広く、特に対面販売にこだわりを持っているチケット売り場は機械に不慣れな年輩の方に喜ばれている。地域密着型のシネマコンプレックスとして街の映画館的な感覚で気軽に来てもらいたいというのが伊藤氏の思い。小山駅前で戦後から続く映画館“シネマロブレ”の流れを引き継ぐ劇場だからこそ効率化だけを追求してお客様を二の次に考えるような事はしたくないと語る。「挨拶と笑顔は勿論ですが、大切なのは仕事としてではなく、スタッフもお客様と一緒に楽しむ…というのを常に意識しています。やはりお客様は貴重なお休みの日に映画を楽しみに来ているわけですから…。マニュアル通りの接客ってお客様に分かってしまうんですよね。普段、親しい友達に見せる笑顔が一番良い表情だと思うんです」と言われる通り、スタッフ一人一人がお客様と接している姿はナチュラルで実に気持ちが良い。「お客様の映画館の思い出が映画の内容とチケットを買っただけしか無いなんて寂しいですからね」上映終了後、出て来るお客様から、“今日の映画は良かったよ”と声を掛けられる事もしばしば、正に劇場が目指している形が徐々に実現化してきている。「映画館という小さな空間の中に何百人というお客様がいらっしゃって同じ映画で笑って泣いて…そんな光景を見ると映画館で働いて良かったなぁといつも思います」









「自信を持って選んだ作品が意外と入らなかったり…こればっかりは思い通りに行きませんね」映画が好きだからという思いで映画館業界に入った伊藤氏。入りたての時は右も左も分からず、先輩のやり方を見て学んだり盗んだりして仕事を覚えて来たというが、その根底にあるのは初めて一人で映画館で観た“バック・トゥ・ザ・フューチャー”に感動した思い出という。「映画館に初めて映画を観た時の感動を出来るだけ多くの若い方に味わってもらいたい。たった一本の映画との出会いが自分の人生に影響を与える事もあるのですから」(2012年10月取材)

【座席】 『スクリーン1』328席/『『スクリーン2』121席
     『スクリーン3』154席/『スクリーン4』106席
     『スクリーン5』118席/『スクリーン6』101席
     『スクリーン7』202席/『スクリーン8』375席
【音響】 SRD(スクリーン1・8のみ SRD-EX・SRD


【住所】栃木県小山市喜沢1475 【電話】0285-21-0050(テープによる案内)


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