「今、映写機で使っているレンズは他の劇場が交換して使わなくなったものをいただいたんですよ。私が来た時は何十年も使っているレンズでスクリーンに映る映像が黄色く焼けて見えていたんです。だからレンズを換えて鮮やかに映った時は嬉しかったね」と、機械のメンテナンスには一切手を抜かず、近所の映画館まで自らお願いに行く…と、いったこだわりを持っている。昔キャバレーだった舞台はスクリーンの下に残っており、ステージの下にはセリが今でも眠っているという。その後、空前の映画ブームに乗って横須賀中にあった数十件の映画館からニュースフィルムを借りに廻って、終わるとまた返す…という事を繰り返していた。当時、向かいにあった“ヨコビル映画街”に務めていた石野氏は、この頃からのお付き合いという。「テレビが普及して、ニュース映画の需要が無くなってから一般の映画をかけていましたが、昭和30年代後半からピンク映画の人気が沸騰して…当時は劇場を開ける前に自衛隊の若い人たちが40〜50人並んでいましたよ」と、当時を振り返る石野氏。全盛期は数館あった成人映画館も日活の直営館が閉館されて以来、コチラの劇場を残すのみとなってしまった。
現在は、毎週水曜日が初日の一週間興行で、新東宝と大蔵映画の3本立て上映となっている。料金は一般1,300円、昼までに入場されると早朝割引として1,100円で観る事が出来る。「本当はシニア割引料金があって然るべきなのですが元々の値段設定が安いもので…中には当然シニア割引があると思って来られるおじいちゃんもいたりするので、その時は早朝割引にしてあげた事も…」と言われる通り、コチラの劇場も来場者の多くは年輩の方。大体が顔見知りのリピーターで、そのため終映が早い(18時40分には終わってしまうのでご注意)のも特徴のひとつ。時々、終わりの時間を合わせるために朝イチの作品を1巻抜いて上映した…なんてあり得ない事をしたこともあるという。これも高齢のオーナーが劇場の2階に住んでいたためであろうか?それに文句を言ったお客様がいなかったと、いうのだから何ともほのぼのとした映画館である。また、お客様で多くを占めているのは他所と同様ゲイの方々。やはり社交場と出会いの場として活用されるのは何処も一緒。 |