今、成人映画に対しての認識が変りつつある。各ミニシアターで往年の“にっかつ時代の名作”が上映され、その観客の殆どを女性客で埋め尽くされるという現象…もはや成人映画は男性だけのものでは無くなってきている。「たしかに昔に比べて監督や脚本を書いているスタッフにもどんどん女性が進出してきていますから女性の立場で描かれた女性が観ても共感出来る作品が増えてきていますね。だからこそ、もっと女性の方々に観てもらいたいです」と語るのは『シネロマン池袋』の小林支配人。

昭和のムード歌謡が似合う街…池袋北口から線路沿いを歩いて2分の場所にあるこちらの劇場は、昭和49年『池袋北口にっかつ劇場』という館名でスタート。低迷する日本映画の救世主として、老舗映画会社の日活がロマンポルノ製作を打ち出した時代に“にっかつロマンポルノ”の封切り館として数多くの名作を上映し続けてきた。最盛期には平日の朝から夜中まで、学生から社会人に至る男たちで場内は常に満席状態となっていた。


やがて、レンタルビデオの台頭から成人映画館に来る客足も減少し、昭和63年6月、母体となる日活の路線変更に伴って館名を『ロッポニカ池袋』と改め、ロマンポルノとは違った斬新な作品を提供する試みも行ってきた。一時期、ミニシアターとして『紅いコーリャン』等を上映したものの、平成2年より現在の館名で成人映画専門館として再スタートを切った。現在は“エクセス・フィルム”の新作と昔の“にっかつロマンポルノ”時代の名作を3本立てで興行を行っている。客層としてはサラリーマンが仕事の合間の息抜きとして利用していたり、ビデオに馴染めない年輩の方が多く、中には家では家族の目が気になって劇場で成人映画を鑑賞するといったお父さんもいるという。「やはりビッグネームの看板女優(イヴ、朝吹ケイトなどにっかつ時代からのスター)の作品は強いですね。ファンにとって彼女たちはカリスマ的な存在なんでしょうね」と支配人が語る通り成人映画の場合は常連さんが何回も同じ作品に足を運ぶことが多いのが特徴だろう。「ウチはロビーも狭いですから顔見知りの常連さんで情報交換されるケースも良くありますよ」

近年では、ミニシアターで往年のロマンポルノの名作を特集して、女性がロマンポルノを観に来るとはいっても、まだまだ専門館ではそれ程数は増えていないのが実情。アベックで来られたり、19才前後の女の子がグループで興味本位で観に来たりするもののまだ男性客のほうが多いという。「中には昔からの常連さんで女性ひとりで通われる方もいらっしゃいますけど、もっと女性の方々に観に来てもらいたいですね。」と支配人が語る通りコチラの劇場では女性がもっと観易いように気を配っている。「女性のお客様が見えられている時は常に場内に目を向けていますね。もともと成人映画を観に来られる男性ファンはおとなしい方が多いんですけど、女性に安心して観てもらうためにも、スタッフにはいつでも声をかけていただきたいです。」女性の中には男性をボディガードとして連れてやってくる方もいたりするが、一度来場してみるとそんな不安は取り除かれることだろう。


また、コチラでは珍しく男性料金と女性料金というのが設定されている。男性は通常の1800円なのに対し、女性はいつでも1,300円という料金で入場が出来る。また男女共に劇場で発行している割引兼用スタンプカードを持参すると毎回割引料金で鑑賞出来る(一般300円引)、さらに5回スタンプを捺印してもらうと1ヶ月有効のご招待券に変わるといううれしいサービスも…また、日活のホームページでクーポン券をプリントアウトして持参しても1,500円で鑑賞出来る。「成人映画の良さは上映時間1時間の間に男女の絡みを何分入れなくてはならないという規制さえクリアしていれば後は何をやっても自由なんです。だから若手の監督なんかは自分のやりたい事や実験的な手法を取り入れたりして意外な面白さを発見できたりするんですよ。映画を撮る新しい才能が出て来る場所でもあるんですね。ですから一度観てもらえればきっと、成人映画の面白さを理解してもらえると思います。」と語る支配人の言葉を裏付ける様に『キネマ旬報』や映画祭などでベストテンに入ったり映画賞を受賞したりする作品にピンク映画がランキングされていたりする。そのスタイルは今も昔も変らず、新しい才能を自分の目で発見するのも成人映画のもうひとつの楽しみなのだ。3本立ての上映作品もなるべく片寄らないようにバラエティに富んだプログラムを組んでおり、その中から自分のお気に入りが見つかるかも知れない。「ロマンポルノとして制作されていたのが1100本位ありましたが、今観られるのはその内の300本程…その中でも名作と呼ばれているのは100本なんです。特に人気のあった作品は全国を廻っているので劣化も激しいのですがそれでも観に来てくれるファンがいてくれるのはうれしい限りですね」


またコチラの名物は監督や女優さんの舞台挨拶があるところ。この時ばかりは、普段は見られないお客様でロビーは賑わう。「やはりファンにとってもスクリーンでしか観た事がない女優を間近で見るチャンスとあって、毎回大好評です。実は、それ以上に小さなロケバスで移動しながら苦労して出演していた女優さんたちが“自分の映画を観に来てくれるお客さんがいると実感できた”と喜んでいたのが印象的でした」と振り返る。ちなみに、支配人の今後予定されているラインナップのイチ押しとしては8月24日から上映される斉藤水丸監督・荒井晴彦脚本による“母娘監禁 牝”という。このファンの間でも評価の高い、にっかつ後期の隠れた名作(数々の賞の受賞した人気の高い作品)だが、今まで上映に耐えられるプリントが無く上映不可能だった。ところが今回、ニュープリント版で復活するというのだから、この機会を逃す事無く是非観てもらいたい作品だ。「そうやって、ひとりでも多くの人々に成人映画の良さを知ってもらいたいですね」と述べてくれた支配人の言葉が印象に残った。(取材:2001年6月)



【座席】 152席 【音響】 DS
2008年4月より運営が日活より酒井コーポレーションに替りました。

【住所】 東京都豊島区西池袋1-29-2地得ビルB1 【電話】03-3982-9155

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