大通・菜園地域は高度経済成長期を経て、高速道路と東北新幹線の開通に伴い百貨店やホテル、オフィスビル等が建ち並ぶ盛岡市の中心地にまで発展した。昭和30年代後半まで、“映画館通り”は正に最盛期を迎え、軒を連ねる封切館には連日長蛇の列が出来、場内は立ち見客で溢れかえっていたという。『中央映画劇場/盛岡東宝』から“映画館通り”を菜園方面へ歩いて5分ほど進んだところに『中央映画劇場2・3』がある。前身は昭和7年に設立された東宝の直営館である旧“盛岡東宝”と昭和13年設立の“第一映画劇場”。老朽化を理由に平成9年11月、現在の第8大通ビルに建て替えられ、『中央映画劇場2・3』がオープンした。エレベーターで5階に上がると目の前に広がる明るいロビー。中規模クラスの『中劇2』と小じんまりとした佇まいでプライベートシアターのように馴染む『中劇3』は共に木の風合いを活かした場内が印象的だ。

(株)中央劇場が共に運営している『中央映画劇場1』と『盛岡東宝』は兄弟劇場で、最盛期の半分以下に減ってしまった映画館の灯を守っているオピニオンリーダー的な存在だ。この4つの映画館は日劇洋画系をメインとしたプログラムで中高生から年配の方まで幅広い年齢層に支持されている。『中央映画劇場/盛岡東宝』の上映作品は東宝日劇洋画系と邦画系がメインとなっているが、状況によって単館系の作品も掛けている。やはり徒歩で来場できるエリアだからだろうか…中高生の姿が目立つ。


こうした客層に応えるべく幾田氏は番組編成に特色を出そうとアイデアを凝らしているそうだ。「たまにマニアックなアニメを上映しているのですが、これが結構好評で反響がイイんですよ。関東と違って東北は情報があっても肝心の作品がなかなかやって来ない。だからファンもきっと飢えているんでしょうね」と幾田氏は分析する。昨年の夏も本部に掛け合ってメジャー系に乗らないアニメの上映権を獲得したところ、予想以上のアニメファンが劇場に訪れたという。「何もしなければ東北では上映されない作品はたくさんあります。だからこそ、なるべく広くアンテナを張って、ファンが望んでいる作品を見つけてくるのが一番の課題です」映画をセレクトする幾田氏曰く「映画を選定する立場と観る側とではどうしても違うんです。やはり、どんなに文化的に良い作品でも我々はお客様が来てくれないと困るわけで…どうしても純粋に映画を観る事が出来ないのが嫌なんですよね。だから試写会とか観ても純粋に感動出来なくなってしまいましたよ」と笑う。ある意味、職業病とでも言うのだろうか、映画が好きでこの業界に入った人間にとっては、こうしたジレンマとの葛藤が日々繰り返されていると幾田氏は語る。「それだけに自分が良いと思った作品の上映権を獲得して、それが見事に的中した時の喜びといったら表せきれないですよね」と笑みを浮かべる幾田氏。









“海猿 LIMIT OFLOVE”の公開時には上映時間を若者が多くなる時間帯のひとつ前の早朝からプログラムを組んだところ殆どの回が満席に近い状態となり「その時は、ほら見たことか!と、思わずガッツポーズしましたね」1作目の“海猿”がそれ程、入っていなかったため周囲も2作目にあまり期待していなかっただけにこの采配は大正解だった。「正直、初日1回目の扉を開けるまではドキドキものでしたけどね…朝早くからスタッフにも出て来てもらっているわけだし(笑)」映画館の勝負は作品の選定だけではなく、上映プログラムをどのように組むか…まで続くのだ。ちなみに1年以上のロングランとなった“タイタニック”(1本のプリントで、よく傷つけずに上映を続けた…と今でも語り種になっているそうだ)は、先行上映ではガラガラで、スタッフ全員があきらめかけていたところ、2週目から何の前ぶれも無くお客さんが増え、冬休みには連日立見状態だったそうだ。「今後は年輩の方に懐かしんでもらえるようなクラシックの名作とかもやっていきたいと考えています」と常々考えていた幾田氏だが、その思いが実って今年の2月から“午前十時の映画祭”が実施される事となった。「年配の方に観てもらいたいのは勿論ですが、これをキッカケに若い方々にも映画の面白さを知ってもらいたいですね」と語る幾田氏。


それは、最近ショックを受けた出来事に起因している。社会科見学で訪れた高校生の中に“映画館で映画を観た事がない”という子がいたのだ。「今、我々がやらなくてはならないのは、どうやって次の世代の子たちに映画館に足を運んでもらうか…です。もし、このまま何もしなければ映画は残ったとしても映画館は滅びるかも知れない」と、幾田氏は危惧する。「それは決して個人館だけではなくシネコンも同じ局面に瀕しているんですよね」幾田氏曰く、それは決して映画離れではなく、映画館で映画を観る癖が無くなっているというのだ。「正直、今の映画館は年に何十本も観るリピーターの方々に支えられているのが現状ですから。全く知らない赤の他人同士が同じ映像をほぼ同じ気持ちで観ているという空間って映画館だと思うんですよね。場内を包む一体化した高揚感を楽しんでもらいたいと思います。」(2010年10月取材)

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【座席】 『中劇2』192席/『中劇3』80席 【音響】 『中劇2』SRD-EX・DTS・SRD/『中劇3』DTS・SRD

【住所】岩手県盛岡市中央通1-9-12 第8大通ビル5F 【電話】 019-622-8226


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