『スバル座』のオープンは昭和22年。戦後間もなくミナミに映画の灯をともす。オープニングを飾った“心の旅路”以来数々の名作がコチラで公開され続けている。“欲望という名の電車”“禁じられた遊び”“シェーン”“ローマの休日”“ドクトルジバゴ”など数え上げたら切りがない程の名作の看板が劇場の前を華やかに彩り、道行く人々の足を止めた。その様子を記録した写真が劇場ロビーに展示しており、今でも懐かしさに見入る年輩のファンは数多い。昭和45年、万国博覧会の年に“ナタリーの朝”を持って23年に及ぶ劇場の歴史に一度幕を降ろす。「実はしばらくの間、映画館として再開しなかったんですよ。というのも映画が丁度、斜陽の時期に入っていて当時流行していたボウリング場にしていたんです。」と語るスタッフの秋山志郎氏。




新生『スバル座』として再スタートをするのは昭和50年アラン・ドロン主演の“愛人関係”から。現在に至るまで作品のラインアップを見ると女性向きの作品が多いのがコチラの特徴だ。「確かに女性をターゲットとした作品は多かったですね。リニューアル前のスバル座には当時としては珍しく2階席のサイドにカップル用のペアシートがありまして、結構お見合いの後とかにご利用頂いていましたから…リニューアル後は以前梅田にあった“梅田スカラ座(現ナビオTOHOプレックス)”とチェーンを組んでいまして、そこが女性向けの作品がメインの劇場だったんですよ。アクション系が強いミナミで女性向けの映画館と言えばウチぐらいでしたね。」と当時を振り返る。

現在は東宝洋画系として“梅田OS劇場”と同じ作品を提供しているが、やはり女性向けの作品が目立つ。リニューアル後のヒット作品を挙げても“ジョーイ”が1位を独占しているなど感動作が受け入れられている劇場なのだ。一方オールナイトでは“死霊のはらわた”や“ミスター・ブー”といった特異な作品がラインアップされるという一面も持っている。毎週水曜日のレディースデー(1000円)ともなると女性のグループが詰めかけロビーは賑わいを見せる。朝イチで映画を観て友達とランチを楽しみ買い物をして帰るというパターンができているらしい。「それだけに前後の日が入りが悪かったりしますよ。(笑)作品によっては映画の日よりも水曜日の方が強い時がありますからね。」他にもサービスとして金曜日の初回は一般1300円で入場が可能だ。 年齢層としても年輩の方がメイン。昔からコチラの劇場に親しんでいる方が多いという。「若い人はシネコンに流れて行ってますからね。


昔は映画館と言えば難波しかなかったんですけど今は天王寺から岸和田まで周囲をシネコンが囲んで郊外からのお客さんがそこでストップしてしまうんですよ。」こうした厳しい現実があるもののシネコンには無い大劇場の魅力がココにはある。当初の設計からスタジアム形式を採用した場内は天井が高く開放的な空間を作り出し、左右がカーブを描いた湾曲した大きなスクリーンは迫力の一言に尽きる。スクリーンの前には5つのセンタースピーカーが設置され迫力ある音響が劇場を包み込む。赤く彩られた場内は昔から変わらない映画館の気品を今に残している…そう、この贅沢さが大劇場で映画を観る醍醐味でもあるのだ。場内と同様のポップな外観の南OSプラザ、左手奥にあるエレベーターを上がって5階に着くとまるで満天の星空(正に館名のスバル座)のような照明。ロビーの上にある小さな照明が床に反射して幻想的な世界を作り出している。





前述した劇場の歴史を見る事が出来る休憩スペースと2階のロビーには壁面がガラス面となっているおかげで日中は充分な自然光が取り入れられ、実に居心地が良い。またロビーにはエレベーターを降りて左手に映画キャラクターコーナーがある。過去のパンフレットやチラシ、プレス等が販売されているのだがよく見ると映画の前売り券が壁面に飾られている…これは既に終了している映画の半券をジャンル別にセット販売しているのだ。「売れ残った前売り券を破棄してしまうのも勿体ないので昔から扱っています。これだけを購入するため来場されるお客さんもいらっしゃいますよ。」映画ファンの楽しみは映画を観るだけではないのである。 「千日前は完全な歓楽街、娯楽を求めて若い人からお年寄りまでやって来る街なんですよ。休日ともなると人の多さで移動するのも苦労する程…その殆どが男性ですね。」と秋山氏の言葉通り、朝早くからパチンコ屋の前には大行列が出来、食いだおれを求めてやって来る観光客もいるから通りは活気と熱気に溢れている。一方で地下街文化が発達している大阪─ちょうど交差するように走るナンバウォークはショッピング等を楽しむ女性が多く、地下と地上で世界が2分化されている珍しい街でもある。「そのふたつが交差する場所がウチの劇場なんです。」今も昔も人と人とが出会う場所にココ『スバル座』があるのだ。(取材:2003年7月)

【座席】 505席 【音響】 SRD

【住所】 大阪府大阪市中央区難波1-3-1南OSプラザ5階 
※2006年9月24日をもちまして閉館いたしました。

  


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