新宿歌舞伎町という街は不思議な街だ。日中は平日でも“新宿コマ劇場”の公演に大勢のおばちゃんたちが列を作り黄色い歓声を挙げている光景が、夜になるとネオンが瞬き呼び込みのお兄さんが景気の良い声を張り上げている。そんな歌舞伎町の中央公園を囲んでいる映画館のひとつ『新宿コマ東宝』と『MOVIEシアターアプル』はもうひとつの歌舞伎町の顔を覗かせてくれる。昭和31年12月に設立された『新宿コマ東宝』は東宝邦画系のロードショウ館として夏・冬・春休みにはファミリー向けのアニメ番組を上映し朝から親子連れが並んでいる。地下に降りて行くと歌舞伎町の喧騒とかけ離れた空間が広がり、照明の抑えたシックな趣きのロビーを有する歓楽街のオアシスだ。東宝邦画系の一番館だけに客席数も586席と、かなりのキャパシティを持っている大劇場。かつては伊丹十三監督作品に大行列が出来、今ではドラえもんやゴジラシリーズに子供たちが喚起する。歌舞伎町は決して大人だけの街ではないのだ。

ただし、「どうしても歌舞伎町のイメージからか他所と比べると子供向けが弱いというのが大きな課題です。」と劇場スタッフは語る。その言葉を裏付けるように現在、歌舞伎町の映画街が“シネシティ”として生まれ変わろうとしている。一方の『MIVIEシアターアプル』は以前“コマダンスホール”というダンス会館だったが20年前から若者向けの自由劇場としてリニューアル。自主上演などを行える劇場だったが、現在でも固定の劇団の専属劇場ではなく貸劇場という形式で上演を行っている。その舞台公演がない時にコチラの劇場は映画館として映画の上映を行っているわけだ。

ロードショウ作品は勿論、ムーヴ・オーバー作品の上映も行っているので見逃してしまった作品などはコチラのスケジュールをチェックしておきたい。しかも、700席というキャパを有しているから場内も開放的で大スクリーンで映画を堪能できるのが特徴的だ。コチラもシックなトーンで落ち着いたムードが漂うロビーは、上映までの待ち時間をくつろいで過ごすことが出来る。どちらの劇場も年齢層も幅広くファミリーだけに止まらず、カップルから年輩の方までと新宿らしさが伺え、各々のファンの活気は他の地区とは違った賑わいを見せている。サービスとしては水曜のレディスディは勿論だが、東宝直営館共通のサービス金曜の初回は1300円で観る事が出来るのも映画ファンにとってはウレシイサービスだ。映画と演劇を楽しんだ後は、帰りに一杯…新宿で映画のハシゴをするも良し、同じ場所で全てが賄えるというのも歌舞伎町ならではの楽しみ方だろう。(取材:2002年8月)


【座席】 『新宿コマ東宝』586席/『MOVIEシアターアプル』700席
【音響】 『新宿コマ東宝』/『MOVIEシアターアプル』DSSRSRD

【住所】 東京都新宿区歌舞伎町1-19-1 コマ劇場地下1階 
※2008年12月31日をもちまして閉館いたしました。


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