かつて、日比谷映画街には東宝直営の大劇場が建ち並んでいた時代があった。─今以上に映画という文化が華やかだった時代─現在の日比谷シャンテがある場所に70mmの大劇場“有楽座”そして日比谷映画街の入口にあったのが“日比谷映画劇場”。両館共にハリウッド娯楽大作を中心とした劇場で数々の名作を贈り続けていた。そして、その隣に位置していたのが日本映画専門館の“千代田劇場”。昭和59年10月、日比谷再開発によって“有楽座”“日比谷映画劇場”が閉館され“千代田劇場”は現在の館名『日比谷映画』となり、邦画チェーンから東宝洋画チェーン劇場のマスター館として生まれ変わったのだ。“千代田劇場”は昭和32年4月14日に“みゆき座”“芸術座(芝居専門の劇場)”が入った東宝会館の1階にオープンして以来、45年という長い歴史の中で数々の日本映画の名作を公開。その中には“風林火山”“日本沈没”山口百恵主演シリーズなど日本映画を語る上では忘れられない作品がラインアップされている。かつては“キネマ旬報”の年間ベストテンに選ばれた作品や出演者たちの表彰式会場としても使われていた。

「昔と違って日比谷という場所はあまり騒がしくない落ち着いた雰囲気のある場所なので、映画を観る環境としてはとても良い場所だと思います。日曜日の昼間などはファミリーの方が多くいらっしゃいますから、ある意味適度に賑わっている街ですね」と語ってくれた副支配人の都島信成氏。渋谷・新宿の雑踏とは異なり近くには日比谷公園があるコチラの場所は映画を観終った後、余韻を楽しみながらブラブラと近所を散策するには理想的な場所とも言える。『日比谷映画』となってからも洋画と交互に角川映画や伊丹十三監督作品などの日本映画の名作を上映しているものの、やはりサスペンス&アクション映画を中心に構成されている劇場イメージは色濃く出ている。


これは、まさしく旧“日比谷映画劇場”のイメージを忠実に継承している現れなのかも知れない。主な上映作品として“Wの悲劇”“ビルマの竪琴”“マルサの女”などの日本映画から“モーニング・アフター”“ザ・フライ”“シザーハンズ”などのハリウッドメージャー系作品など…最近のヒット作としては“U-571”が挙げられる。サービスとして全東宝直営館と同様に水曜日のレディースディが女性1000円、毎週金曜日の1回目は早朝割引として1300円となっている。またシニア割引、ペルソナカード提示による割引もあるので是非、利用してもらいたい。また当日チケットは1週間前から購入が可能。通りに面した窓口でチケットを購入(ロードショウ館としては珍しい完全入替制)して一歩ロビーに入ると意外にシンプルなロビーが姿を現わす。ところが目の前の階段を上がって行くと、そこにもうひとつのロビー…2階部分からは客席の最後尾に入場出来る。場内に入ると、まず劇場の奥行きと客席中央から分かれた急勾配の傾斜が付いたスタジアム形式の設計となっているため、その開放感に圧倒されるだろう。


傾斜が強いために客席の後半は実に鑑賞し易く前列の人が邪魔になってスクリーンが観えにくいという心配がない。しかもそのスクリーン自体が大きく迫力ある映像が楽しめるという特長を持っている。「これから、年輩の男性をターゲットに絞り込んだ作品を掛けていっても良いのかな…と思っています。年齢が上のお客様のニーズに合った作品を上手く獲得していきたいですね」と言葉通り客層としては年齢層は比較的高く特にアクション作品ともなると年輩の男性が一人で来られるケースが多い。

ブラリと映画を観に来て銀座でちょっと美味しいものを食べて帰るといったコースは落ち着いた雰囲気を持つ日比谷だから出来る事でもあるのだ。とは言うものの興行されている立場から考えると「もう少し、せめて有楽町マリオン付近位の賑わいも欲しいですね。それには映画や演劇だけではなくココの地域全体を盛り上げていけるような施策を考えないといけないと思っています。“日比谷シャンテ”もデパートとしてはかなり特長がある施設ですから…もっと、この場所の良さを認識してもらえたらと思います」日比谷映画街の良さは一度、来てもらえれば映画ファンならずとも満足できる場所なのだ。(取材:2001年11月)


【座席】648席 【音響】SRSRDDTSSRD-EX

【住所】東京都千代田区有楽町1-2-1 ※2005年4月8日を持ちまして閉館いたしました。


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