1955年の創立以来、数々の大作を贈り続けていた“日本劇場”に次ぐ東宝洋画系チェーン2番手に位置するマスター館『日比谷スカラ座』が最新の設備と共に東京宝塚劇場の地下にリニューアルオープンしたのは2000年12月16日。かつては1館だった劇場を2館体制として再スタートを切った。以前は邦画・洋画を問わず大作を中心に上映していた旧『日比谷スカラ座』。主な上映作品として“チキチキバンバン”“フェーム”“殺しのドレス”などの洋画から“スローなブギにしてくれ”“帝都物語”といった邦画のヒット作を送り出している。新生スカラ座は2館である強みを活かして『スカラ座1』では大作を『みゆき座(旧スカラ座2)』ではちょっと小粒の作品を上映しており、『みゆき座(旧スカラ座2)』はミニシアター的な要素を持っているのが特徴的だ。

エントランスからロビーに足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのが本来であれば劇場の外にあるべきはずの映画の大看板。よく見てみると“タイタニック”や“トップガン”“アラビアのロレンス”などの名作の看板をディスプレイしているのである。ちょうど劇場売店の上にある資生堂パーラーの窓からその大型看板を見る事が出来るというのもユニークだ。そしてその看板の下にある休憩スペースでは公開中の映画に関連したポスターなどが展示(取材時は“千と千尋の神隠し”にちなみスタジオジブリのポスターが)されているので待ち時間も楽しく過ごせる。


シックなトーンで統一されたロビーは落ち着いた雰囲気を漂わせており、日比谷という街にピッタリとマッチしている。副支配人である都島信成氏は劇場についてこう語ってくれた「マリオンに比べると場所が解りにくいというのがあり、暫くは認知されていなかったのですが今年公開した“千と千尋の神隠し”のおかげでようやく大勢の方々に知ってもらえたと思っています。一度来てもらえれば良い映画館であると思っていただけると自負していますので、今後はリピーター獲得のために幅広いジャンルの作品を提供出来るようにする事が課題ですね。」場内へは完全入れ替え制を導入しており、1階の窓口でチケットを購入しておけば確実に座って観る事ができる。シネコンでは既に導入されていたシステムだが通常のロードショウ館で、導入しているのは珍しい。場内に入るとブルーを基調としたシートと壁面が幻想的な『スカラ座1』、レッドの色彩が高級感を醸し出している『みゆき座(旧スカラ座2)』共にスタジアム形式の鑑賞し易い設計となっている。そして、何と言っても特筆すべきは『スカラ座1』の音響システム。ロードショウ館では初の3-Wayシステム─最新のステージ音響システムによってクリアでダイナミックな高・中・低域の音の再生に実現している。また上映システムとしてDLP(デジタルシネマ)システムが導入されクリアなサウンドと共に理想的な画質を提供することが可能だ。このような最新の設備によって今までに体験したことのない臨場感を楽しむことが出来るだろう。


場内には難聴者むけに補聴器が正確に音を拾うことが可能なスペースを設けており、その場所に座り補聴器を調整すれば直接、補聴器に音が入って来るように設計されている。勿論、車イスの方むけのエレベーターも設置されており劇場スタッフに申し出れば誘導してくれる。「せっかく障害者向けのサービスが整っているのですが、まだまだ告知が足りないので出来るだけ利用しやすい環境という事をアピールしたいと思っています。」最新の設備を誰でもが共有して楽しむことが出来る劇場…それが本当の意味におけるサービスなのだ。『日比谷スカラ座』はその劇場作りに向けて第一歩を踏み出してくれた。
入口をくぐるとすぐ横にあるコンセッション。スナックやドリンクに加えておススメのメニューはスタッフが自信を持って「ココだけでしか味わえない!」と豪語するソフトクリームだ。通常のバニラに色々な味のシロップをトッピングしているという珍しい逸品。女性に人気のアイテムだ。またコンセッションに隣接されているキャラクターグッズのショップでは公開作品の関連グッズが多数揃えられているので、こまめにチェックしたい。



繁華街から離れている場所柄だろうか、夜になると人通りが少なくなる日比谷映画街。「確かに遅い時間帯は、あまり混まないんですよ。」と語る都島氏。「金曜や水曜の夜でも“ブリジット・ジョーンズの日記”みたいなクセのある作品ですとOLの方も大勢いらっしゃいますけど…意外と土日の夜は空いていますね。」言われる通り、日比谷という街は昼間の時間帯が賑わっている街なのだ。渋谷・新宿に比べると年齢層が高いというのがお客様の層としても顕著に現れており、やはり雑踏の中を掻き分けて映画を観るよりも落ち着いて観たいというのがあるのだろう。「“スターリングラード”の公開時、年輩の方が帰り際に“いい映画を観せてくれてありがとう”と言葉を掛けて下さって…“千と千尋の神隠し”にしても公開してからしばらくの間は毎回、終了ごとに拍手が起こったりして…そういった光景を見たり、言葉を掛けてもらえたりするとうれしくなってしまいますね。と同時にがんばらなくてはという励みにもなります。」まさに、自信を持って薦められる映画を提供しようと努力を続ける映画館とそこに集まる映画ファンが夢の空間を作り上げるのだ。(取材:2001年11月)


【座席】『スカラ座1』654席/『みゆき座(スカラ座2改め)』183席
【音響】『スカラ座1』SR・SRD・DTS・SRD-EX・SDDS/『みゆき座(スカラ座2改め)』SRD・SRD-EX

2005年3月東宝本社ビルにあった(旧)みゆき座の閉館と共に『スカラ座2』は館名を歴史ある劇場の名前を引き継ぎ『みゆき座』と改名しました。

【住所】 東京都千代田区有楽町1-1-3 【電話】 03-3591-5358


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