横浜─関内駅から内陸に向かって続く伊勢佐木モール商店街。古くからハマっ子たちに親しまれ多くの専門店が建ち並ぶ、横浜の下町だ。メイン通りからちょっと脇道に入っただけで面白いお店がいくつもあり、散策するにはもってこいの場所…。そして、夜になるとネオンが灯り様々な人間たちで賑わうこの通りは意外と映画館が多い場所でもある。関内駅からブラブラ歩いて10分程“伊勢佐木モール”の終るあたりに『横浜東映会館』が見えてくる。そこの階段を上がった2階…同じフロアに『伊勢佐木町東映』と『伊勢佐木町東映2』がある。元々は“花月”という演芸場だったこの場所に昭和47年現在のビルが建てられ、別々の場所にあった『東映』と『第2東映』をひとつの大劇場にしてスタートした。


何と言っても、アニメの集客力が強いものの、まだまだ東映お得意の人間ドラマなどシニア層も多い。こちらでは主にアニメのムーヴ・オーバー作品がメインだが、たまにロードショウ作品やアニメ以外の作品も上映する。「ただ…どうしても一度フィルムからビデオプロジェクター用にマスターテープを作成し、そこからベータカムに落とすといった工程が入りコストが懸かるため全作品がこちらで上映出来るとは限らないんです」ビデオシアターという余り聞き馴染みのない映写方式に“何だろう?”と興味を持たれる方も多いと思うが、要するに天井に設置してあるソニー製のプロジェクターからビデオ化された映像をスクリーンに投影するわけだ。「今の若い方たちは映画館で上映している映画もビデオだと思っている方もいらっしゃいますから、やはりビデオ世代なんでしょうね」と語る劇場スタッフの言葉に時代の変化を感じてしまう。平日の最終回ともなると子供向けの作品も観客が少なくなり、「まるで劇場を貸し切りで映画鑑賞できるのがウレシイ」と喜ばれている。これも小さな空間だからこそ可能な、プライベート感覚で楽しめる贅沢な映画鑑賞なのだ

最初は『伊勢佐木町東映』1館だったのだが、隣接していたゲームセンターが営業をやめたのをきっかけに、そこの場所に『伊勢佐木町東映2』を造ったのが今から7年ほど前…。本来がゲームセンターだった場所に映画館を造るとなるとスペース的に映写機を置く場所がない、ということで採用されたのがビデオプロジェクターの映画館。これならば遠隔操作によって映画の上映が可能という訳だ。スタジアム形式で、客席数350席以上の『伊勢佐木町東映』は東映邦画系の直営館で、最近のヒット作として記憶に新しい“バトルロワイヤル”以上にアニメの動員数が多い程…春・夏休みには東映アニメフェアで多くの子供や家族連れで賑わう。映画を観た帰りに商店街で買い物をしていく夫婦やグループで来場されるお客様が多く見られる。また、古くからこの街に住み親しまれている年輩の方々が平日の昼間にブラリと立ち寄る“憩いの場”でもあるのだ。音響・スクリーンの大きさ共に大劇場の風格を持つ『伊勢佐木町東映』に寄り添うようにあるのが客席数37席─日本で7番目に小さい劇場『伊勢佐木町東映2』(自称1番目だが、もっと小さい劇場が6館もあるのだから驚く)。


“鉄道員ぽっぽや”や“長崎ぶらぶら節”等の作品が強いのも伊勢佐木町という街を愛し、昔からこの土地で映画をみ続けている方たちに支えられているからなのだ。久しぶりに“バトルロワイヤル”で若い世代のお客様が多く詰めかけたものの、中学生以下は入場制限を付けられたため、数多くの中学生が、何とか入場を試みたという。「中には“どうして入れないんだ!”と劇場の前で暴れた中学生もいました」と社会現象を巻き起こした作品に関わる苦労は絶えない。サービスとして車で来場された方には、駐車場のチケットさえ提示すれば1名に限り300円引きで入場出来る。また作品によっては1作品に対して2日間、“耳の不自由な方”のために字幕付きでの上映も行っている。これは東映独自のサービスの一貫で、こちらの劇場でも約130名ほどの方が登録されており、新作の度にFAXにて上映案内を送信している。ここ数年で新しい専門店がオープンし変りつつある伊勢佐木町。映画を観終った後、昔ながらの味わい深い雰囲気を楽しみながらショッピングする…そんな時間に追われることのない休日の過ごし方も良いものだ。(2001年5月取材)


【座席】 『伊勢佐木町東映』369席/『伊勢佐木町東映2』37席 
【音響】 『伊勢佐木町東映』DSSR・SRD/『伊勢佐木町東映2』VT

【住所】 神奈川県横浜市中区伊勢佐木町3-107
※『伊勢佐木町東映2』は2005年9月30日を持ちまして閉館いたしました。
『伊勢佐木町東映』は2006年8月6日を持ちまして閉館いたしました。


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