今、池袋が新しい映画の街として生まれ変わろうとしている。池袋駅西口を出て2〜3分程歩くと、飲食店が建ち並ぶ“ロマンス通り”が姿を見せる。ネオン煌めく歓楽街として昔から池袋の夜を照らし続けている通りだ。その“ロマンス通り”を、しばらく歩いていくと“ロサ会館”というビルが見えてくる。ビルの地下と2階にある映画館が、スペイン語で薔薇(=ロサ)という意味の館名を持つブルーとトリコロールカラーの場内が印象的な『シネマ・ロサ』。昼間はロードショウ専門館として松竹系(ピカデリー2とプラゼール系)の作品を上映しているが、レイトショウでは名画やミニシアター系の作品をトークショウなどと絡めて上映したり、昨年『ブッシュ・ド・ノエル』を自主配給したりと個性的な一面を持っているロードショウ専門館だ。「今、映画業界自体が変りつつある時代ですよね。その中で、“何か新しいチャレンジとか方向づけをしていこう”皆で何かやってみようじゃないか…っていう事で自主配給をやった訳です」と語ってくれたのは副支配人の勝村俊之氏。


「誰もが知っているメジャー系作品を上映していくというのが基本です。以前は名画座だったため音響設備も充実していなかったのですが、メジャー作品にも対応できる様に設備を一新しました」その言葉通り、音響の良さにはきっと満足できるはずだ。ロビーも広々と空間を有効に活用しており、特に地下の『シネマ・ロサ2』は、ちょっとしたカフェ・バーの様な空間が演出されている。また、こちらのレイトショー…中でも多方面から多彩なゲストを迎えるトークショーでは毎回、席を埋め尽くす程の観客で溢れている。「やはり昼間にかけているチェーンの作品は地元の方が多いのですが、レイトショーになると、東京だけではなく近県からも(北海道から来るお客も…)お越しになりますね。そういったファンの方々に支えられているんです」それだけに、せっかく遠方から来るお客様のためにも、映画の特集上映を組むレイトショーにプラス・アルファの要素を提供したいという気持ちからトークショーが生まれたのだ。トークショーに来られたゲストもトークが終った後、一緒に映画を観て帰る事も多いという。

「池袋も昔はファミリー映画やジャッキー・チェンなどの娯楽作品が強い地域でしたが…ここ数年、特に西口はアートの分野が発展してきてますよね。ミニシアターも西口に集中してますから…」その言葉通り、池袋のミニシアター3館でアジア映画を上映するという合同の特集が組まれたりと、池袋での映画の梯子(はしご)が面白くなりそうだ。『シネマ・ロサ』は、昭和21年12月に勝村氏の祖母が木造二階建て客席626席を有するSY松竹系で創業した池袋で一番古い映画館だ。「ここのビルが建つ前は、元々“シネマ・ロサ”、“シネマ・セレサ”、“シネマ・リリオ”という3館の劇場だったんですよ。映画の良い時代だったんでしょうね…しばらく封切り専門や、日活の封切り等をかけていたんです」その後、名画座に転向して2階の劇場ではハリウッドを中心としたアメリカ映画、地下の劇場ではヨーロッパを中心としたアート系の映画を上映していたという。その後ムーヴ・オーバー館を経て平成10年現在の形態で『シネマ・ロサ1』が、そして2年後に『シネマ・ロサ2』が各々再スタートを切った。


こうした臨場感が『シネマ・ロサ』ならではの映画の楽しみ方なのかも知れない。「名画座からロードショウ専門館に移行した当時はお客様がガラリと変ってしまったり、ロードショウ館という事が定着するまで時間が掛りました。それでも、できるだけ姿勢を崩さずにやって来て…ようやく少しずつですが、リピーターの方も増えてきてます。」今後は、クラシックの中でも余り陽の当たらない(上映される機会が少ない)作品を取り上げたいと語る副支配人…最後に、こう語ってくれた。「映画館では世代・年齢関係なく、若い人とお年寄りの方が同じ映画を観て感動する。ひとつの体験をできる場所だと思うんです。こんな幅広い年齢層に共通の体験を与える事ができるのが映画の良さなんでしょうね」リアルタイムで観たお年寄りと初めてその作品に触れる若い人が同じ場所で笑い、涙する…そういった映画を『シネマ・ロサ』は、これからも提供してくれることだろう。今回の取材で池袋に“映画という文化の灯”が活気を取り戻し始めているのを肌で感じずにはいられなかった。(2001年3月取材)


【座席】 『シネマ・ロサ1』200席/『シネマ・ロサ2』177席 【音響】 DS・SR・SRD・SRD-EX(シネマ・ロサ2)

【住所】 東京都豊島区西池袋1-37-12 ロサ会館 【電話】 03-3986-3713


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