| 昔、新宿の映画街と言えば新宿三丁目から新宿通りを真直ぐに伸びた場所であった。今では歌舞伎町に映画館が密集しているものの、新宿駅から徒歩1分(いや地下出口からだと30秒も歩かないかも知れない)の場所に今なお風格と歴史の重みを感じさせてくれるロードショウ専門館が健在している。大正時代から創業を続け、昭和48年にリニューアル・オープンしたこちら『新宿武蔵野館』…新宿界隈で最も古い劇場のひとつだ。同じビル内に『シネマ・カリテ』を持つ武蔵野館だが、客層は勿論ガラリと変わる。「ミニシアターと違って家族連れのお客様が多いんですよ。たまに家族揃って映画を楽しむために劇場へ訪れる方たちばかり…中には年に一度っていうご家族もいらっしゃると思うんです。ですから、その数少ない貴重な時を楽しく過ごしていただこうとサービス面には一番気を使いますね」と、語ってくれたのは劇場担当の長澤順子さん。たしかに、土・日・祝日は家族連れが目立つ。しょっちゅう映画館に足を運ぶ方ばかりではない人々にとって、気持ち良く劇場を出られる事が何より素晴しい家族サービスであるのだ。その手助けをしてくれる劇場のスタッフがいてくれれば「もう一度、映画を観に行こうか」という気持ちになってくれるはず。また、場内のイスにも最善の気配りが施され、リニューアルする際にイスとイスの感覚を足を伸ばして観られる程、ゆとりのあるスペースを取っている。普段はビルの1階に“San-ai”が入っているせいもあって女性客が大半を占めている。「ウチの上映作品は東宝『みゆき座』系列の作品ですから、どうしても男っぽいアクション大作よりも女性向けのソフトな映画が多くなってしまいますね。ショッピング帰りとか仕事帰りのOLさんの姿が目立ちますよ。」そのせいだろうかロビーも格調高い重厚な作りになっているものの明るく清潔なイメージがある。勿論、それは場内にも言えることでベージュの色調が落ち着いた気持ちにさせてくれるのだ。「もう少しロビーが広ければ、待ち時間も苦にならないのでしょうけど…申し訳なく思っています。」と長澤さんは言うものの決して窮屈な感じはしない。むしろロビーの明るさが開放的なムードを醸し出してくれているように思える。駅からのアクセスは新宿の映画館の中でも一番良く、まさに雨に濡れずに映画館にたどり着けるのだが…「実はけっこう場所を認知されていないんですよね。場所のお問い合わせが多いんですよ…」もしかすると駅からあまりにも近過ぎるせいだろうか…それでも一度来たら忘れられない距離なので会社帰り、たまには映画でもという時には是非、利用したいものだ。(取材:2001年2月) |
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