渋谷は今やミニシアターの中心地としてその名を轟かせているが、渋谷公園通り入口にそびえ建つ“ヒューマックス・パビリオン”の中にロードショウ専門館として頑張っている劇場がある。『渋谷ジョイシネマ』…。ヒューマックスの直営館として松竹系、丸ノ内ピカデリー2チェーン系列の作品を上映し続けてきているが、2月から東宝系ロードショウ館として新しく生まれ変わる。1992年11月26日にオープンして以来、場所柄か仕事帰りのOLを中心とした女性に人気の高い劇場だ。正面向かいに、“丸井”周囲を“西武”“ロフト”に囲まれた好立地あるものの、「実はまだ、認知されていないんですよね」と、語ってくれたのは下里幸子マネージャー。「公園通りという場所と、近くに他の劇場がある事で問い合わせや間違って他館へ行かれてしまうお客様が多いんです」それでも、最近ムーヴオーバーとして上映した“マルコヴィッチの穴”が大好評。かなり入場者数が増えたという。こうしたアッヂの効いた作品が、時間が経ってもウケるのは渋谷という街の特性にマッチしたからだろう。
映画ファンにとっては、まさに穴場的な存在なのだが建物は一度覚えたら忘れられない程特徴的な外観。しかも、エレベーターで4階へ上がって一歩ロビーに入ってみると…中央にそびえ建つ球形の巨大なオブジェ。それを囲むようにして劇場が作られているのだ。場内へはロビー左右にある階段から入場するのだが場内へ入るまでの通路にも驚かされる。まるで迷路を歩いているかのような不思議な空間だ。ロビーの窓から見える公園通りの街明りが実にロマンティック、カップルで来れば上映開始までの待ち時間もあっと言う間に過ぎてしまうだろう。またチラシの多さも特徴的で、ミニシアター並みの多さを誇っている。もうひとつ、こちらの劇場はいつも明るくキレイな事に気付く。「うちの標語として“ONLY
ONE”というのを各々掲げているのですが、私の“ONLY ONE”として、サービスとクリリネスをモットーにしているんです。ですからいつもお客様が気持ち良く映画を観れるように劇場を清潔に保っています」 |