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「夏になると浴衣姿のお客さんが来ることもあるんですよ」と言う庭野弘子支配人は当時、女性としては珍しい映写技師として劇場に入ったという経歴の持ち主。「10年ほど前にリニューアルした時のコンセプトは女性が一人でも観に来られるようロビーにゆとりを持たせました。」確かに商店街の中にあるせいか主婦の姿が多いこの劇場の歴史は古く、江の島を望む藤沢の地に昭和10年から創業している湘南で最も古い映画館である。当時の横浜オデヲン座が改築される際に建物を移動してこの劇場が誕生したというわけだ。駅から5〜6分ほど歩いて行くとオシャレな外観が目に入ってくる。地域に密着した劇場の中でも珍しくモダンという言葉が良く似合う。設立当時はオデヲン座一館だけだったのがリニューアル時、3階に『キネマ88』が併設された。どちらの劇場も女性向けに作られており水曜日のレディース・デイには満員になるのも頷ける。珍しい事にこの劇場はメンズ・デイ(毎週水曜日)が設定されている。「女性だけではなく男性の方にも映画を観やすく」ということだ。水曜日になると、やはり会社帰りのスーツ姿が目立つ。休憩時間にはロビーのピアノの自動演奏が楽しめ、何よりも『オデヲン座』の天井の高さに驚かされる。「私たちは無形の物を売り物にしているのだから、映画を観終ったお客様にロビーで余韻を楽しんで頂けるとうれしい」と、語る支配人…劇場の精神はしっかりと観客に伝わっている事だろう。
▲高いメゾネット式の天井が落ち着く空間を演出している。 |
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『キネマ88』の売りのひとつに場内のイスがある。かまぼこを連想させるような背もたれが印象的だが、珍しいのはリクライニング・シートだという事。ゆとりのある座席は決してシネコンに退けを取らない。上映開始のアナウンスが流れると慌てて座席に座り、荷物の中からサンドイッチを広げる…そういった光景があちこちで見られる。場内持ち込み禁止の劇場が増えつつある今、そんなホノボノとした光景が見られるのもこういった劇場の良さでもある。映画が終ってからもロビーでくつろげる静かな空間であるためか最近は年輩の方が多く見られるという。リニューアル前はロビーが狭かったためか、「E.T.」が公開された当時、劇場の前に中に入り切らないお客さんが溢れかえったというが「今ではロビーが広くなったので中でゆっくりとお待ちいただけます」とは言うものの「ジュラシック・パーク」の時は連日ロビーでくつろげる様な状況ではなかったらしい。それでも「やっぱりお客様に喜んで頂ける映画を上映できる喜びを感じ、これからも皆さんに楽しんで頂ける映画を提供したいですね。」と支配人は笑顔で語ってくれた。劇場の正面に掛かっている時計の針が劇場と共にこれからの歴史を刻み続けていくことだろう。(取材:2000年8月)
▲『藤沢オデヲン座』エントランス ▲シネマ・チケットは招待券が一枚付いて6枚で6500円 |
(上)『藤沢オデヲン座』 |
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| 【座席】 『藤沢オデヲン座』260席/『藤沢キネマ88』157席 【音響】 『藤沢オデヲン座』SRD・『藤沢キネマ88』SR 【割引】 レディースデー(金曜日)1,000円 メンズデー(水曜日)1,000円 映画サービスデー(毎月1日)1,000円 【URL】http://www.cityfujisawa.ne.jp/~f-odeon/ 【住所】 神奈川県藤沢市藤沢1011 ※『藤沢オデオン座・藤沢キネマ88』は2007年4月1日を持ちまして閉館いたしました。 |