初めて『荒野の七人』を観たのはロードショーではなく二回目のリバイバルで、札幌市内のボーリング場を改装した人の頭の影がスクリーンに映り込むような小さな小屋(ボーリングブームが去った昭和40年代はそんな劇場が全国にたくさんあった)だった。その前にも頻繁にテレビで放映されていたので、40分近くカットされた無残な吹き替え版は何度も観ていたのだが、ノーカットはリバイバルで初めて。

本作は、御存知の通り黒澤明監督作品『七人の侍』をユル・ブリンナーが気に入り、リメイク権を取得し、ウォルター・ニューマンが脚色した。ジェーン・フォンダ主演の西部劇『キャット・バルー』とジョン・ボイド主演の親子ものの感動作『チャンプ』が代表作で本作以前から活劇物を得意としている脚本家で、侍からガンマンにする際に三船敏郎と木村功のキャラクターを合わせてホルスト・ブッフホルツ演じるチコにしたり、加東大介と稲葉義男をスティーブ・マックイーン演じるヴィンにしたり…とアレンジが見事だった。

驚いたのはロバート・ヴォーン演じるリー(追われている内に、すっかり精神が参ってしまい拳銃を抜けなくなったスゴ腕ガンマンで『七人の侍』にはいないキャラクター)のエピソードが、テレビではまるっきりカットされていた事実だ。確かに一番カットしやすかったのだろうが…。テレビのスパイもの「ナポレオン・ソロ」のファンだった僕はロバート・ヴォーンのエピソードとキャラ設定に遅ればせながら、すっかり魅了されたのでした。

監督は『OK牧場の決闘』や『ゴーストタウンの決斗』など決闘シリーズ(勝手に日本の配給会社がつけたタイトルだが)を手掛けるアクション西部劇を得意とするジョン・スタージェス。人間ドラマを主軸に置くジョン・フォードやハワード・ホークス監督の作品を松竹大船調としたらスタージェスは骨太アクションを主軸とした大映時代劇といったところだろうか。

2014年12月31日「新宿ミラノ座」閉館イベント最終日に『荒野の七人』を観る。朝9時前のチケット発売開始から既に長い列が出来ており開映時には立ち見となっていた。(近年は全席指定だったので、ここで立ち見の光景を見るのは随分と久しぶり)午後からの『E.T.』の列が「シネマスクエアとうきゅう」の階段にもう延び始めている。エルマー・バーンスタインの勇壮なテーマ曲に乗って大スクリーンにタイトルが映し出されると、もうこんな大劇場で観ることが出来ないのか…という物悲しさが先に立ってしまい冷静に観賞が出来なかった。スタージェスお得意のガンアクションもスティーブ・マックイーンやジェームズ・コバーン等のカッコ良さもさる事ながら、なんと言っても『荒野の七人』はバーンスタインの音楽あればこそ。中学の時に買ったサントラ盤LPレコード(ジャケットは『続荒野の七人』だが同じ曲を使っていたのだ)を何度も繰り返し聴くほどバーンスタインの音楽は魅力的だった。

以前、古本屋で購入したミラノ座の館名入り初版パンフレット(劇場で2万円以上の高値で販売されているのには驚いた)に掲載されている写真はモノクロスチールに人工着色を施しており、逆にそのチープな感じが味があって良かった。有名なブリットが投げナイフと早撃ち対決するシーンで背後に停車している機関車がメキシコにある石炭ではなく薪で走る“エル・マグニフィコ”という古い蒸気機関車と初めて知った。最後のページに「ミラノ座」の座席表が掲載されている。