三分間の詐欺師予告篇人生 騙されながらも胸踊らせるあの瞬間…
        映画ファンが待ち望んでいた一冊

このタイトルの付け方の見事さ。予告篇にワクワクしながらその作品を観に行って「えっ?」と、思った映画ファンは何人いることだろう。予告篇が名人芸であればあるほど肝心の映画以上に期待が膨らんでしまうもの。まさに詐欺師にも成りかねない予告篇の制作ウラ話しを一冊にまとめているのが本作。たしかに著者の手がけた作品(予告篇)には名作と呼ばれるものが数多い。勿論、今では観ることができない予告篇ばかりだ。著者が、予告篇の制作に携わるようになったいきさつ等…数々のエピソードと関わった映画人たちとの出会を書き綴っている。また、当時書かれた予告篇制作の台本が掲載されているのがウレシイ。映画のもうひとつの楽しみ方として予告篇を観直してみたくなる。まさに『御期待を乞う!』

前半、著者が映画の仕事に関わっていた昭和初期の時代が描かれており戦前の風物史を知ることができる。興味深いのは著者が関わってきた映画界に生きる人々との出会い…。その中には故淀川長治氏を始め日本の映画界に貢献された方々の名前が連なる。無償でアルバイトしていた学生時代から戦争という時代を経て予告篇制作を始めるまでの経緯がこの一冊で良くわかる。専門的な用語を極力わかり易い文体で表現されているのは著者もまた、業界人でありながら、一人の映画ファンだからと思われる。映画ファンには、たまらない貴重な一冊となるだろう。ちなみに表紙に描かれているイラストは新橋にあったアメリカ映画を一括して扱う会社が入っていたビルのネオンサインとのこと(今では勿論、見ることが出来ない)。


佐々木徹雄 著 

定価2,000 円+税 A5版 

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2000 Tetsuo Sasaki. Printed in Japan.

 

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