ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト SHINE A LIGHT
この臨場感はライブでも味わえない!

2008年 アメリカ カラー ビスタサイズ 122min 東北新社配給
制作 ヴィクトリア・ピアマン、マイケル・コール、ゼイン・ワイナー、スティーヴ・ビング
監督 マーティン・スコセッシ 撮影 ロバート・リチャードソン 編集 デヴィッド・テデスキ 
照明 パトリック・ウッドローフ 美術 マーク・フィッシャー
出演 ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、チャーリー・ワッツ、ロニー・ウッド
クリスティーナ・アレギラ、バディ・ガイ、ジャック・ホワイト

2008年12月5日(土)より 全国ロードショー公開中
オフィシャルサイト http://www.shinealight-movie.jp/


 史上最強のスーパー・バンド、ザ・ローリング・ストーンズと『ディパーテッド』でアカデミー賞を獲得したアメリカ映画界の巨匠、マーティン・スコセッシがタッグを組み、超ライブ体感型スペクタクルが実現した。ポップなパフォーマンスを支える野太いブルースサウンドを提供する、未だ衰えぬカリスマ性と永遠のロック体型を維持するミック・ジャガー、永遠の不良少年を体現するキース・リチャーズ、柔軟に縫うギターサウンドを紡ぐロニー・ウッド、淡々とリズムを刻むチャーリー・ワッツらが行ったニューヨークのライブの殿堂“ビーコンシアター”コンサートを究極の映像で完成させた。更に特別ゲストとして、ジャック・ホワイト、クリスティーナ・アギレラ、ブルース界の重鎮バディ・ガイが参加しているのも見所のひとつだ。撮影は、バンドが世界中を回る“ア・ビガー・バン・ワールド・ツアー”を行っていた上、メンバー全員が多忙を極め揃う時間がごく限られていた中で行われた。更に、ライブ中は何台ものカメラが演奏の邪魔をしないという条件を提示され、スコセッシ監督は彼らに最高の光を当てる事に成功した。ミック・ジャガーの着想からスタートしたライブを映像として記録する企画は、当初リオデジャネイロで行われた屋外コンサートが想定されていたが、オファーを受けたスコセッシ監督は「誰でも撮れる音楽映画」になる事を嫌い、小規模の会場に変更。会場や撮影方法、スケジュール、セットデザイン等、ミックの考えとスコセッシの意見が対立するなどのせめぎ合いも冒頭収められている。結果としてバンドと観客の距離を縮め、ストーンズの原点とも言えるステージ上のバンドに立ち返えらせた。18台ものカメラを『アビエイター』『JFK』のロバート・リチャードソン撮影監督指揮の下、一流のカメラマンたちがストーンズのパフォーマンスに肉迫している。


 取り立てて、ザ・ローリング・ストーンズが好きなわけではない筆者が本作に興味を持って映画館にまで足を運んだ理由はただひとつ。マーティン・スコセッシ監督が、ロック界でいまだにカリスマ性を維持している彼らのステージを描き出すのか?多分、このサイトをご覧の皆さんは、映画ファンがこの作品を映画として、どこまで楽しめるのかを知りたいのではなかろうか。いくら、ザ・ローリング・ストーンズの熱狂的なファンじゃなくても代表的な曲くらいは知っている筆者は、二組の天才たちのぶつかり合い(音楽と映像)を「見せてもらおうじゃないか」程度の気持ちで、この映画に挑んだ。案の定、劇場はほぼ7:3の割合でザ・ローリング・ストーンズのファンで、一体何人の人間がスコセッシ監督の名前を知っている事か…。上映前から大声で歌ったり仲間同士で騒いだりと異様な雰囲気に包まれた場内(断っておくが場末の映画館ではなく天下の“日劇2”でだ)は、まるで映画館とは思えない。しかし、こうした人達のおかげで映画をより立体的に楽しむ事が出来る。だからマスコミ試写会よりも一般公開で映画を観る方が断然面白いのだ。まるで映画を観に来ているのは自分一人?といった孤立感も映画が始まって10分、いよいよニューヨークの“ビーコン・シアター”でのライブの幕が切って落とされ1曲目の“ジャンピン・ジャック・フラッシュ”が始まった途端、そんな疎外感は吹き飛んでしまった。
 スゴイ!やっぱり、ローリング・ストーンズは頂点を極めるべくして極めた天才たちだ。既に60歳をとうに越えたオジサンたちが、ここまでカッコ良さを保ち続けられるものだろうか?眩い照明に照らし出されるミック・ジャガーの肉体美と美し過ぎる唇の動き。対象的にしなやかに、まとわりつき絡んでくるキース・リチャーズのギターパフォーマンス。その動きを邪魔せずにピッタリと肉迫するカメラ…これを単なるライブ映像と同じ類のモノと思った奴はセンスがないと諦めよ。全てが計算し尽くされた予測の上に成り立つぶっつけ本番なのだ。考えてもみよ…彼らがリハーサルに応じるはずがない。ザ・ローリング・ストーンズのファンであるスコセッシ監督は、歌う曲順から彼らの動きを推測し、撮影監督ロバート・リチャードソンが18台のカメラを巧みに操り、ファンですら今まで見た事もないようなメンバーの表情を捉える事に成功している。あえて、巨大なスタジアムにせず小さなビーコン・シアターを選んだのは大正解だったと思う。観客とメンバーの距離の近さと、メンバー同士の親密さが、ワンフレームの中にすっぽりと収まっているからだ。かえってそれがリアルな臨場感を観客が得られた理由のひとつであり、さすが『ラストワルツ』という伝説の“ザ・バンド”の解散コンサートを作り上げたスコセッシ監督ならではの的確な判断だったと言えよう。とは言え、当初屋外コンサートのドキュメンタリーを希望していたミックにとって小ホールを選択したスコセッシ監督の考えに違和感を抱いていたのは冒頭できちんと紹介されている。メンバーの顔に刻まれたシワの一本一本まで映し出された映像を観ている内に驚きが増し、溜め息ばかりが出てしまう。そしてゲストで登場したバディ・ガイとの競演でライブは頂点に達するのである。

「運が尽きてないだけかも」昔のインタビュー映像で“長続きしている理由”を記者に聞かれたキースが答えるセリフ。カッコ良すぎる…。

 

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