デス・レース DEATH RACE
負けたら最期、死のレース―今、2人で挑む600馬力の臨死体験!!

2008年 アメリカ カラー シネマスコープサイズ 105min 東宝東和配給
制作指揮 ロジャー・コーマン、デニス・E・ジョーンズ、ドン・グレンジャー、ライアン・カヴァノー 
監督、脚本 ポール.W.S.アンダーソン 撮影 スコット・キーヴァン 音楽 ポール・ハスリンガー
美術 ポール・デンハム・オースタベリー 編集 ニーヴン・ホウィー 衣装 グレゴリー・マー
出演 ジェイソン・ステイサム、ジョアン・アレン、イアン・マクシェーン、タイリース・ギブソン、ナタリー・マルティネス、マックス・ライアン、ジェイソン・クラーク、フレッド・コーラー、ジェイコブ・ヴァルガス

2008年11月29日(土)より 全国ロードショー公開中
オフィシャルサイト http://www.deathrace.jp/


 近未来のアメリカ。そこでは熱狂的な人気を博すテレビ番組が存在していた。それは、流血とスピードと破壊が、大衆を興奮へと導く“死のレース”であった。サーキットは四方を海に囲まれたターミナルアイランドと呼ばれる脱出不可能の刑務所。レーサーは服役中の凶悪犯たちで、車は全て特殊武器が装備された走る兵器である。1970年代にロジャー・コーマン制作のB級アクション映画の金字塔『デスレース2000』を『エイリアンVSプレデター』『バイオハザード』シリーズの鬼才ポールW.S.アンダーソン監督が「現代のグラディエーター」と称して、甦らせた。新たなる“死のレース”の世界は、視聴率をむさぼるテレビ局と更なる刺激を求める大衆が加速させる“究極の興奮装置”として姿を現す。出演に無実の罪を着せられ、半ば強制的に地獄のレースへ放り込まれる元レーサー、エイムズ役にハリウッドきっての新進アクションスターである『トランスポーター』のジェイソン・ステイサムが扮し、冷酷な刑務所長に『ボーンアルティメイタム』のジョアン・アレン、さらにミュージシャンのタイリース・ギブソンとセクシーなナビゲーター役にナタリー・マルティネスといった個性派が脇を揃えている。また、この映画のもうひとつの主役と言える数々のマシン―フォード、マスタング、クライスラー、ジャガーなどの改造マシンも必見。


※物語の結末にふれている部分がございますので予めご了承下さい。
 元レーサーのエイムズ(ジェイソン・ステイサム)は製鉄所で働きながら妻と幼い娘の3人で慎ましく暮していた。ある晩、自宅に侵入した何者かに妻が殺害され、彼に妻殺しの罪が着せられてしまう。孤島の刑務所ターミナルアイランドへ送られたエイムズは、そこを牛耳る冷酷な女所長ヘネシー(ジョアン・アレン)から、レース中の事故で死んでしまったデスレースのヒーロー、フランケンのフリをしてレースに出場して欲しいと持ちかけられる。デスレースに5勝すると自由の身となり出所出来る権利が得られるのだが、既に事故死したフランケンは4勝を挙げており、あと1勝で自由の身となれるのだ。娘と会いたい一心でレースへの身代わり参加を引き受けたエイムズは、早速同じ囚人仲間でレースチームのコーチ(イアン・マクレーン)に紹介される。卓越したハンドルさばきとレーステクニックで、一癖も二癖もある凶悪な囚人レーサーを相手にレースを勝ち進んでいくエイムズ。しかし、助手席でナビゲーターを勤めるケース(ナタリー・マルティネス)が故意にエイムズを妨害している事を告白する。理由は、視聴率を確保するためにヒーローを残しておこうとする所長の命令によるもので、フランケンが死んでしまったのもそれが原因だったのだ。更に、エイムズの妻殺しの濡れ衣も彼を刑務所に入れるための所長の画策だったのだ。怒り心頭に達したエイムズは妻を殺した囚人レーサーをレース中に殺害し、更にはレースの混乱に乗じて仲間と脱出を試みるのだった。


 最近、ハリウッドのリメイクラッシュを見ていると1960年代と同じ現象が起こっている事に気付く。オリジナル製作時には不可能だった映像技術をリメイクで実現させる…と、いうのならばリメイクも決して悪くはない。あの名作『ベンハー』だって、元々リメイクだったのだから。と、言うわけで、本作『デスレース』は1970年代に量産された近未来アクション映画『デスレース2000』のリメイク。正直、かなり面白かった。オリジナルの主人公を演じたデヴィッド・キャラダイン(“キル・ビル”のビルね)もかなりカッコ良かったが、本作の主人公を演じるジェイソン・ステイサムも結構、イケてる人の良い悪役面だ。犯罪発生率が、デッドラインを越えたため、国が刑務所を維持する事が出来なくなり民間が営利目的のために委託されている未来。こういうシチュエーションを「あーでもないこーでもない」と考えるのってさぞかし楽しいだろうなぁ…と思いながらノリノリで最初から最後まで観てしまった。刑務所に収容された凶悪犯たちが、4回優勝すれば釈放される…という条件で殺人レースを繰り広げる。アクション映画は、CGによって飛躍的な進歩を成し遂げたが、本作は正にアナログでは得られない迫力あるカーチェイスの映像をふんだんに交える事で、かつての超B級映画を見事に蘇らせてしまった。
 ジョン・カーペンター監督の名作“ニューヨーク1997”を彷彿とさせる孤島全てが刑務所兼サーキットという設定が面白く、それが課金制のネット配信で利益を得ているというのが実にユニーク!ゲーム世代の観客に向けた実況中継に、軽く戦慄を覚えながら、その実況中継に助けられ、かなりのハイテンションでスピーディーな展開にも脱落する事なく最後まで楽しめた。路面にある盾や槍の上を通過すると武器が使えるようになるという設定には場内は大爆笑!さすが、『バイオハザード』シリーズでゲームをリアルに実写化した実績をもつポール・W.S.アンダーソン監督だけにリズム感、タイミングは抜群。『エイリアンVSプレデター』といった天下のA級SF映画のゲテモノ化も楽しく作り上げた彼だけに、ロジャー・コーマンが好きだったのかも知れない。彼の作品ラインナップを見ると21世紀のロジャー・コーマンと言っても良いだろう(遂にコーマンの後継者出現か!?)。しかも本作、見方によってはオリジナルの正統な続編と言っても良いかも?(オリジナルでデヴィッド・キャラダイン演じたフランケンが意外な形で絡んでくる)…という設定がアンダーソン監督のオリジナルに対するオマージュを感じてならない。残虐な描写とメカニカルなシャープさが、本作の目玉であるから、そこにはテーマ性は一切存在しない。まぁ、評論家の中には、そこに現代の不安定な社会の縮図を見いだそうとするがそれは大きな間違い。監督もプロデューサーも頭にあるのは、どうやったらアドレナリンが沸騰するような、クールな映画を作れるか…だけだ。ならば、本作は作り手の意図通りに出来上がったと言って良いだろう。悪人たちのレーサーも各々個性的で、時間があったらもっと掘り下げてもらいたかった。主人公を徹底的にいたぶるサディスティックな所長をジョアン・アレンが嬉々として成りきって演じていたのが素晴らしかった。陰謀の影に暗躍する鋼鉄の女性…という事で、次回作は是非ともナチスの女収容所長を演じてもらいたいものだ。

「最高の娯楽だぜ」本作で忘れられないキャラクター。イアン・マクシェーン演じるコクピットのコーチがつぶやくセリフ。人間の死が娯楽になる世界が展開される。

 

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