REC/レック REC
封鎖されたアパートの中で、拡がっていく "感染"の恐怖―しかし、彼らはそこに隠された本当の恐怖をまだ知らなかったー

2007年 スペイン カラー ビスタサイズ 77min ブロードメディア・スタジオ配給
プロデューサー フリオ・フェルナンデス 監督、脚本 ジャウマ・バラゲロ、パコ・プラサ
脚本 ルイス・A・ペルデホ 撮影 パブロ・ロッソ 音楽 ハビ・マス 美術 へマ・ファウリア
編集 ダヴィ・ガリャルト 衣装 ルカ・モスカ
出演 マニュエラ・ヴェラスコ、フェラン・テラッツァ、ホルヘ・ヤマン、カルロス・ラサルテ、パブロ・ロッソ
ダビ・ヴェルト、ヴィンセンテ・ヒル、マルタ・カーボネル、カルロス・ヴィセンテ

2008年6月14日(土)より 全国順次"絶叫"ロードショー
オフィシャルサイト http://www.recmovie.jp/


 本国スペインで公開されるやいなや、メジャー大作を抑え100万人動員の大ヒットを記録したリアルパニック・ムービー『REC/レック』。スペインでは社会現象を巻き起こし、ハリウッドでのリメイクが決定した話題作がついに日本に上陸。究極の恐怖に直面しながらも克明に記録されていく手持ちカメラの映像は、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や『クローバーフィールド/HAKAISHA』をも凌駕する圧倒的な緊張感を生み出したP.O.V=ポイント・オブ・ビュー(主観撮影)。TV番組のクルーの視点で描かれる映像を、 "生録画の映像"として観せることで、観客はその"病原菌の感染"の惨劇を生々しい出来事として目撃する。共同監督のジャウマ・バラゲロとパコ・プラサがこだわったのは、これから起こる出来事を偽造せず、恐怖をあるがままに動かす事。恐怖の要素を全てセットの中に入れ、人工的に極端な恐怖の状況を作り出した。また、信憑性を出すためにキャストは全て無名の俳優を選び、かつ即興の演技が俳優たちに求められた。主演のレポーター役には、実際のレポーターであったマニュエラ・ヴェラスコを起用。そのリアルな演技にスペインのアカデミー賞といわれるゴヤ賞新人女優賞を獲得した。マスコミは勿論、主要スタッフ以外にも撮影当日まで脚本内容を明かさず、時にはノンストップで20分以上もカメラを回す事もあったおかげで、77分間、息つく暇もないノンストップ・リアルパニック・ムービーが完成したのだ。


※物語の結末にふれている部分がございますので予めご了承下さい。
 ローカルテレビ局の女性レポーターアンヘラ(マニュエラ・ヴェラスコ)とカメラマンのパブロ(パブロ・ロッソ)が、地元の消防士たちに密着取材を行っていた。深夜、あるアパートから「住人の様子がおかしい」との出動要請が入り、消防士マヌー(フェラン・テラッツァ)とアレックス(ダビ・ヴェルト)と共に現場に向かう。アンヘラとパブロは、駆け付けた警官たちと共に、問題の住人の部屋に向かった。そこで彼らが見たものは、朦朧とした意識の中で立ちすくむ血まみれの老婆の姿だった。救助しようと警官が老婆に近づいていくと、老婆は突然、警官に襲いかかった。彼らは、老婆に教われた警官を救出しようと出口へ向かうが、アパートは既に警察や衛生局によって封鎖されていた。理由も分らずパニックになるアパートの住人たち。そして、老婆による第二の犠牲者が発生し、もう一人の警官(ホルヘ・ヤマン)が、老婆を射殺してしまう。しばらくして、防護服を着た衛生士がアパートに入り、状況の調査を始めるのだが、瀕死の重傷を負った警官たちが、突然襲いかかってきた。住人や警官たちが衛生士に、何が起きているのか問いつめたところ、唾液によって感染する未知の病原菌が、アパートに蔓延しているという恐るべき事実であった。少しずつアパートの中にいる人々に感染は拡がり、教われた人間は、やがて残忍な生き物へと変貌を遂げていく...。遂には、アンヘラとパブロを残して、全ての住人たちが感染し、2人を追いつめていく。逃げ場を失った2人は、使われていない屋根裏部屋に逃げ込んだ。しかし、そこで2人が見たものは思いもよらない衝撃の事実だった。


 この映画を観て発見した。人間あまりに怖いと笑ってしまうな…。まるで、遊園地のアトラクションみたいな展開とゾンビたちの動きに「怖え〜怖え〜」と言いながら声にならない笑い声をあげていた。先日、『クローバーフィールド』という怪獣映画が公開された。ニューヨークに現れた怪獣を人間の目線のみで描いた力作で、全て主人公の友人が撮影したビデオカメラの映像のみで構成されている。本作は、そのギミックをソックリそのまま頂戴したホラー版だ。ハリウッドで作られた作品をホラーに置き換えてちゃっかり作っちゃうのは1970年代にイタリアがよくやっていたなぁ〜と懐かしくなったが本作は、珍しいお隣のスペイン産。亜流と言えども出来が良ければ観客として文句はない。正に、本作は文句の付けどころのないゾンビ映画に仕上がっていた。その上、舞台は古いアパートだけなのだからお金はかかっておらず、今のCGばかりに頼っているハリウッド超大作に見習ってもらいたい。『クローバーフィールド』のスタッフたちはさぞかし悔しかったに違いない。残念ながら、比べると本作の方がまとまっていて、スリルの盛り上がりも抜群だった。また、ゾンビが出てくるタイミングの演出って、どこか日本のホラーに通じるものがあり…もしかしてスペイン人の恐怖に対する感覚って日本人に近いのかな?とも思ったりした。
 消防士の24時間に密着取材するレポーターとカメラマンが通報のあった古いアパートに同行。恐怖の始まりは、ゾンビ映画のお決まりパターン…最初の犠牲者を救護しようとしたとたんに襲われるところから。オマケに設定が、完全に封鎖された建物から、住人等と共にカメラクルーたちも同様に閉じ込められてしまう…という極限の密室状態。上手いのは密室という閉鎖された空間の中で、ビデオカメラによる狭い視界のフレームの使い方だ。例えば…死んでいる女性を一瞬捉えた後、カメラが次にパンすると立ち上がっているという恐さの表現。カメラマンが慌てふためくのと同様に、観客もまたアパートの空間に投げ込まれた錯覚に陥ってしまう。また、一世一代の大スクープかも知れない事件を前にして、何が起ころうともカメラで撮影し続ける必然性は本作の設定ならば納得できる。後半、圧倒的にゾンビたちの数が上回ったあたりから緊張感は皆無と化し、ひたすら逃げ回る主人公たちを必死に追いかけるのがやっと。かなりの量のアドレナリンを分泌した挙げ句に、追い詰められた主人公たちが逃げ込んだ最上階の怪しい部屋。全ての明かりが無くなった時に赤外線モードのカメラに映し出される“モノ”に戦慄を覚える。よくぞ、ここまでおぞましいクリーチャーを造形したものだとジャウマ・バラゲロとバコ・プラザ両監督のセンスに拍手を贈りたい。アルモドバル以外にもスペインには多くの才能が出番を待っているのだ。

「何が起きても最後までビデオを回して」女性レポーターがカメラマンに中盤言うセリフ。皮肉な事にラストでは彼女の運命を最後まで撮り続ける事になるのだ。

 

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